第62話 ビル屋上の有効利用について考える

(写真=SCOTTCHAN/Shutterstock.com)

前回:人口の増加と経済成長が見込める東南アジア諸国の不動産投資について、メリットとデメリットを考えていたらオオタ部長からベトナムに行って不動産投資をやってみないかともちかけられた!!
投資はじめました第61話はこちら→

ベトナムへ行くのか??

「資金なら会社にあるぞ。ベトナムへいってみるか?」

「え?」頭が真っ白になったがなんとか言葉をひねり出す

「オ、オオタ部長、冗談はよしてくださいよ」

「いや、冗談なんかじゃないぞ。ウチの会社も前々から更なる飛躍のために海外進出は考えていて、どこで何をやろうか検討していたところなんだ。ベトナム不動産投資、いいじゃないか。興味があるならプロジェクトを立ち上げてみたらどうだろう」

「しかし、まず外国語は一切話せないですし、不動産のことも投資のこともまだまだ分からないことだらけです・・・」自分でも分かるほど弱気全開だ。

「ふむ。それじゃあ一度海外視察に行くのはどうだ?ベトナムに限らず、他国の経済や文化を直接学んでくるといい。うん、それがいい。視察の企画書をつくって提出してくれ」

「あ、はい」

なんだかよくわからないまま海外視察は決定事項になってしまった。どうしたものか。しかし、貴重な機会であることに変わりはないし、どこに行くかよく考えなきゃ。

その前に日本のことももっと知らないと。やることは山ほどある・・・
しかし、やりがいも倍増だ!頑張ろう!

■いつも通りの午後、窓から外を眺めていると??

その日の午後、休憩がてらなんとなく窓から外を見ていると、ビルの屋上に看板や太陽光発電パネル、アンテナなど、いろいろなものが置かれていることに気がついた。
その一方で、室外機くらいしかなく空きスペースになっているビルも多い。これってじつはすごくもったいないんじゃない!?
よし、さっそく調査開始だ!! ニシカワ先輩は外出中なので、オオタ部長に聞いてみよう(それは調査とはいわない…)。

「オオタ部長、ちょっと質問よろしいでしょうか?」

「どうした? ヤブからスティックに」
古い、古すぎる……、ここはスルーしよう。

「今、外を見ていたら屋上に何もないビルが多いことに気がついたのですが、空きスペースのままにしておくより、広告看板や太陽光発電パネルなどを設置したほうが有効活用できるし、収益も上がるのではないでしょうか?」

「屋上の有効活用の問題か。なかなか面白いところに気がついたな」

「ビルによって本当にバラバラなので、どうしてかと思いまして」

「たとえば広告看板の場合、広告を出す側が広告を出しても費用対効果に合わないと判断したら、広告を出してもらうことはできない。だから、広告を出す価値がある場所に建っていることが大前提になる。東京でいえば首都高沿いのビルの上とか、新宿や渋谷といった繁華街が代表的な場所だな。これは理解できるはずだ」

なるほど、いわれてみれば当たり前すぎる話だ。
「はい、わかります。でも広告看板はダメでも太陽光発電パネルを設置するとか、緑化するとかであれば、どこでもできますよね? なぜやらないんでしょうか?」

「その質問にも答えることはできるが、ここから先は自分で調べてみなさい。これもタカヤマさんと一緒に考えてみるといいだろう」

「わかりました!」
ビルの屋上活用方法か…面白そうなので頑張って調べてみよう!

想像以上にハードルが高いビル屋上の活用

(写真=Chayantorn Tongmorn/Shutterstock.com)

すぐにタカヤマさんを呼んで、ビルの屋上を活用する方法について一緒に考えはじめる。インターネットで調べるまえに、まずはどんな活用法があるかを考えてみることにした。

「さっき窓から見えたものでは、広告看板、太陽光発電パネル、何かのアンテナ、緑化などが目についたけど、他には何かあるのかな?」

「そうですね……、たとえばマンションなら住人用の屋上菜園とか保管倉庫にするのはどうでしょう?」
タカヤマさんの着眼点はなかなか鋭い。

「緑化のひとつとして屋上菜園はありそうだね。オフィスビルなら緑化して休憩スペースにするというのもありそうだ」

「でも、そういうマンションやビルってなかなかありませんよね。どうしてでしょう?」

「じゃあ、自分は太陽光発電パネルとアンテナについて調べてみるから、タカヤマさんは屋上の緑化について調べてくれるかな」

「わかりました!」
任されたことでタカヤマさんは心なしか嬉しそうだ。

しばらくインターネットで情報収集をして、再び話し合う。

「それじゃあ、太陽光発電パネルについて。有効な活用方法のひとつではあるけど、重量の問題があって建物の強度にも影響するから、どこのビルでも設置できるわけじゃないらしい。また、風圧で飛ばされる可能性もあったり、屋上に設置したことで雨漏りを誘発したりする可能性もあるみたいだね」

「ということは、最初から太陽光発電パネル設置を前提とした設計にすれば問題はクリアできるわけですね」

「そうだね。あとは設置コストと収益が見合うかどうかという話になると思う。それで、次はアンテナなんだけど、これは携帯電話の基地局だった。設置することで携帯電話会社から賃料が入るので、屋上の空きスペースを収益化できるそうだ。住民や利用者も携帯電話の受信状態がよくなるというメリットがあるみたいだね」

「希望すればどこでも設置してもらえるものなんでしょうか?」

「いや、これも広告看板と一緒で携帯電話会社が設置したい場所じゃないとダメみたい。ただ、今度導入される新しい通信規格の5G用アンテナを新たに設置していく必要があって、設置希望のオーナーと携帯電話会社をマッチングする会社も登場しているよ」

ひととおり調べたことを伝えたので、今度はタカヤマさんから緑化について報告してもらう。

「緑化についてですが、景観の向上や断熱効果、環境への好影響、ヒートアイランド現象対策といった効果が見込めることがわかりました。反面、耐荷重の問題、防水の問題もありました。あとは植物の根がコンクリートに食い込んでしまって、防水性や強度が損なわれる可能性はあるそうで、その対策も必要とのことです」

「植物の根は驚くほど強くて、簡単にコンクリートに食い込んでしまうからね」

「もうひとつ、屋上菜園や庭園にして開放するためには、落下防止策などさまざまな安全対策が必要になることもわかりました。ですので、それなりのコストがかかるということです。とはいえ、環境対策の面から屋上の緑化は推進されていて、東京や大阪、兵庫のように屋上や壁面を緑化するビルには容積率を緩和するといった特例を設ける自治体も出てきています」

「なるほど! ということは既存の建物に導入するのは難しい部分もあるけど、新しい建物なら導入しやすいということだね」

「そうですね。実際、住民が利用可能な屋上菜園や庭園を設置したマンションも増えているようです。今後は緑化されたビルが増える可能性は高いように思います」

調べてみてわかったのは、耐荷重や防水などの観点から既存のビルでの屋上活用は想像以上に難しいということ。とくに古いビルだとハードルが高そうだ。

それでも、うまく設備を設置したり緑化したりできれば、収益化と不動産価値の上乗せは見込めるように思う。海外不動産でも活用できるかもしれないし、視察に行くときにここはよく見ておこう。それからもし、自分がビルのオーナーになったら、検討しなくちゃだね!(いったい、いつになることやら……)

次回へ続く。

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