第60話 ベンチャーキャピタルってなんだ?

(写真=Natasa Adzic/Shutterstock.com)

前回:部長も先輩も不在のなか、小口の太陽光発電投資について質問を受け、タカヤマさんに調べてもらうことでいい新人教育ができた。(と思うがどうだろう)
投資はじめました第59話はこちら→

ベンチャー企業に出資する投資会社

最近、部長や先輩の外出が増えて、全員揃うことのない日が続いたが、今日は久しぶりに4人が事務所にいる。先日から気になっていたことがあったので、ニシカワ先輩に話しかける。

「そういえばこの間の出張、どこへ行かれたんですか? お土産もらってませんけど」

「アホか、都内や都内、お土産なんかあるかいなw ベンチャーキャピタルの取材にいってたんや」

べんちゃーきゃぴたる? なんだろう?? 
タカヤマさんの手前、あまり無知を晒すのはいただけないので、なんとか話を合わせてみる(こらこら……)。
「あー、あの最近話題のベンチャー企業のキャピタルですね~」
ど、どうだ?

「なんやねん、その適当な受け答えはw ベンチャーキャピタルいうんは、投資会社のことやで。大きな成長が期待できる未上場企業の株式を購入するかたちで出資するやろ。ほいで、その企業が狙い通り成長したら株式を上場させて、高くなった株式を売って収益を上げるっちゅーわけや」
と、とんでもないほどドヤ顔で説明してくるニシカワ先輩。

「ニシカワ君。担当者の話の内容をきちんと覚えているようで安心だ(笑)」
そこにオオタ部長が笑いながら鋭くつっこむ。

「部長、それはいわんとってや~。ワイもベンチャーキャピタルのことは、取材に行くまで、よー知らんかったんですわ」
本当にこの人だけは……。

「それって投資した企業がうまく成長しなかったらマズイですよね。けっこうリスクがありませんか?」
と、思ったことを質問する。

「そやな、だから融資先の審査は厳しいんやで。しかも、基本的にベンチャーキャピタルはファンド(投資事業組合)を設立して投資家を募り、集めた資金を出資することがほとんどや。せやから、投資を行った企業には、ベンチャーキャピタルが経営コンサルティングを提供したり、担当者が社外取締役になって経営に参加したりして、しっかり出資した資金を回収できるようにするんやって。これも先日聞いた話やけどなw」

「資金も提供してくれて、経営も助けてくれるなんて全体的にいい人たちなんですね」
と様子を伺っていたタカヤマさんも加わる。

「ベンチャーキャピタルの目的は、出資した企業を成長させて収益をあげることだから、当然といえば当然だ。もちろん産業育成という側面もあるがな。それと、投資を受けるメリットもあるが、いいことばかりでもない。どんなメリット、デメリットがあるか、ふたりで調べて見なさい」と部長からの指示が。

よし、今回も先輩らしさを見せねば!
そういえば、大学時代の先輩で、それっぽいことをやっていた方がいたな。
もしかしたらベンチャーキャピタルを活用していたかもしれない。久しぶりに話を聞きに行ってみるか!
人脈の広さでタカヤマさんに先輩らしさを見せつけることもできるし一石二鳥だ。

ベンチャーキャピタルはお金を出すだけではない?

(写真=ITTIGallery/Shutterstock.com)

「あ、原さん!突然連絡したのにこんなにすぐ来ていただけるとは。ありがとうございます!こちら後輩のタカヤマさんです」

「よ、よろしくお願いします」と若干緊張気味のタカヤマさん。

「いいよいいよ。さっきまでこのあたりでアポがあったからちょうどいいタイミングだったよ。で、ベンチャーキャピタルについて聞きたいんだっけ?」

「はい。部長からベンチャーキャピタルについてふたりで調べてきなさいと指示が出たもので。出資による資金提供や経営支援の話はもう出ているので、ほかのメリットを教えていただけませんか?」
先頭に立って原さんとの会話を進める俺、先輩っぽいね。

「えーと、一般的にはベンチャーキャピタルは審査が厳しいといわれているから、出資を受けることで企業の信用が高くなるというのはメリットなんじゃないかな。1回ベンチャーキャピタルに応援してもらえると、彼らが出資している企業のなかから、事業提携や協力できそうなところを紹介してくれる可能性がある。それから、別のベンチャーキャピタルを紹介してもらったことや、イベントに参加させてもらって色々な方と仲良くできて、どんどん輪が広がってことは大きかったな」

「なるほど。それは大きなメリットですね」

「デメリットのほうはどうでしょうか?」とタカヤマさんが原さんに質問を投げかけた!
あれ、いつの間にか立場が…。

「まずは経営に参加されると自分の思うように経営できない可能性があるよ。出資を受けている側だから、ベンチャーキャピタル側の提案にノーというのは難しいという人も多いだろうね。それに、事業がうまくいっているときはお互いにとって嬉しいことだから円満に活動できるけど、うまくいっていないときは大変だね。そして最後に、ベンチャーキャピタルにとっては株式上場がひとつのゴールである場合が多いから、出資を受ける企業はそのために上場準備の資金や上場後の費用などが必要になって、経営を圧迫するかもしれないのは痛いね」

「ベンチャーキャピタル側の目指しているところと、出資を受けている企業の目指しているところが、本質的には違うからということですね」
タカヤマさんが完全に会話をリードしているぞ・・・

「そうだね…企業である以上、彼らも収益をあげなきゃならないわけだし、経営が不調の場合、資金が引き上げられてしまう可能性だってある。そうすると、倒産の危機になってしまうわけだ」

「補助金や慈善事業じゃありませんもんね。なるほど。ベンチャーキャピタルのこと、分かってきた気がします。今日は色々お話いただきありがとうございました!」
タカヤマさんのおかげでいい感じにまとまった。(微塵も先輩らしくなくなっていますけどね)

「おー。ふたりとも、頑張ってね。それじゃ」

原さんに帰り際にボソッと言われた「タカヤマさんに負けてるんじゃない?ww」という一言が刺さった。

さて、ふたりで原さんから聞いたことを部長に報告すると…、
「おおむね正解だ。実際に活用している人に話を聞くというのはいい選択をしたな。ふたりとも、よく話を聞いて理解できたみたいでよかった。いい答えだったぞ」
最近、部長に褒められることが多くなった。素直に嬉しいぞ!(半分以上、タカヤマさんのおかげですよ)

今回わかったことは、ベンチャーキャピタルは資金を出してくれる反面、経営に参加した場合、企業が思うように経営できない可能性があるということや収益にはシビアであるということだ。自分が起業することはなさそうだけど、ベンチャーキャピタルが募集するファンドはなかなか面白そうだ。出資金額やリターンについてしっかり調べてみよう。しかし、タカヤマさんが優秀すぎてこのままでは自分の立場が危うい。何か手を打たないと(純粋に仕事できるようにならんかい)

次回へ続く。

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