第44話 四季報の損益計算書で業績を読み解く

 

(写真=karen roach/Shutterstock.com)

前回:会社四季報のチェックすべきポイントを教えてもらい、株価を基準に会社の価値を判断する方法について学んだ。投資はじめました第43話はこちら→

会社の業績はPLで見る!

オオタ部長とニシカワ先輩に会社四季報の読み方を教えてもらい、PERとPBRのこともなんとなくは理解できた。

株価とPER、PBRをチェックしてだいぶ銘柄を絞り込んだが、それでもまだたくさんある。次はどこを見ればいいのかわからないので、ニシカワ先輩に聞いてみる。

「先輩、四季報を読んで投資したい銘柄をだいぶ絞り込んだんですが、まだまだ数が多くて。ほかに見るべきポイントがあったら教えてください」

「んーそやな、次はPLのチェックやな」

「ぴーえるって、あの高校野球で有名だった?」

「そうそう昔、強力スラッガーとエースの伝説のコンビがおってなー、ってなにいわすねん。Profit and Loss statementの略でPL、つまり損益計算書のことや」

「損益計算書って、簿記で習うやつですか?」

「そやそや、四季報では左下に載ってるんやけど、ここの数値を見ればその会社がどれくらいの売上があって、どれくらい利益があがってるかがわかるんや」

ここで、オオタ部長が一瞬こちらを見た。そこで先手を打って質問する。
「オオタ部長、利益が3種類もありますが、それぞれの意味を教えてください」
今日の勝負はもらった!(なんの勝負?)

「”営業利益”は、売上高から原材料費や仕入れ費用などの売上原価、広告宣伝費などの販売費、管理部門の人件費などの一般管理費といったコストを差し引いたものだ。本業で稼いだ利益を表していると覚えておくといいだろう」

「”経常利益”は、その営業利益に受取利息なんかの営業外収益を足して、支払利息なんかの営業外費用を差し引き、子会社の損益も合算したもんや。会社の事業全体の利益っちゅーことやな」と、部長の先手を取ったら、ニシカワ先輩が乱入してきた……。

「”当期純利益”は、経常利益から、その期だけ特別な要因によって発生した特別損益を合算し、税金を差し引いたものだ。臨時の収益も含めたその期の最終的な利益ということになる」

なるほど、なんとなくわかってきたぞ。
「会社本来の実力は”営業利益”で、事業全体の収益性は”経常利益”で判断できそうですね。えっと、”当期純利益”は……どう判断したらいいんでしょう?」

「”当期純利益”は株主の配当金に影響するんや。配当金が増えれば、それを狙って株を買う投資家が増え、株価があがりやすいってことやな。配当金は一番右の欄に書いてある。それとやな、その左の1株益(円)は当期純利益を発行済株式数で割って出してるんや。このあいだ教えたPERを計算するとき、基準になる金額やから、ここも要チェックやで」

「ただし、当期純利益だけ見るのは危険だ。ここが黒字でも、たとえば保有していた土地を売って得た臨時収入で見かけ上よくなっているだけのことがある。逆も然りで、赤字になっていても災害や事故などで損失を被ったことが原因ということもあるわけだ。だから、3つの利益をしっかりチェックしなければいけないんだ」

最初はまったく意味がわからなかったが、教えてもらうと驚くほどカンタンだった。利益の見方がわかったことで、有望銘柄の絞込も捗りそうだ!

記者独自の業績予想が最重要!

(写真=WDnet Creation/Shutterstock.com)

さっそく、3つの利益のチェックに入る……左端の数字は決算期だというのは、さすがの自分でもわかる。「予」は予想、「中」は中間決算だろう……が、「会」ってなんだ? 会社のこと? あれ?? よく見ると同じ決算期の予想がふたつあって、数字が違うぞ。これどーいうこと???

教えてもらおうと顔を上げると、ニシカワ先輩が冬季オリンピックで話題になった北海道のお菓子を食べながら、ニヤニヤこっちを見ていた。いったいどうやって手に入れたんだ……。
「予想がなんでふたつあるんか、わからんのやろ?」

「……はい。会って会社のことですか?」
く、くそ、悔しいぞ。

「正解や、会と入っているのは会社予想、網掛けのある方は四季報記者の予想っちゅーことや。」

「なんで、こんなに数値が違うんでしょう?」

「それはやな、会社にもクセがあって、予想を高く設定する会社もあれば、低く設定する会社もあるんや。担当記者は各社のそういったクセを熟知していて、取材で得た情報や業界を取り巻く環境なんかも加味して独自に予想してるんや。この予想で株価が動くこともあるくらい、投資家が注目してるポイントなんやで」

「四季報を買うメインの理由になるくらい重要視している人も少なくないはずだ。ここは最重要チェックポイントだぞ!」

豊富な知識と綿密な取材の積み重ねで成り立っている予想だから、多くの投資家が注目しているということか。確かに自力ではとても調べられないから、貴重な情報になりそうだ。

「ところでニシカワ君…。
その北海道のお菓子、私にもくれないか?」

「ええですよ! これホンマ美味しいですわー」

まとまったハズのところで部長がまた話し始めたので、大事な話かと思ってしっかり聞いて損した……。(自分もちょっと食べてみたいくせに)

次回へ続く。

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※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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