第34話 ふるさと納税ってなんだ?

(写真= fineperfume/Shutterstock)

前回:失恋のショックから衝動的にクルマを買いかけたが、部長と先輩の指摘で金利の計算をしてみたら、一気に目が覚めた。投資はじめました第33話はこちら

田舎の両親元気かな?

ささいなケンカが原因で彼女に別れを告げられて2週間。ショックは和らいだものの、なんだかため息ばかり。心が弱っているのか、ふいに両親の顔が浮かぶ。そういえば、しばらく両親の顔を見ていないなぁ……。
「父ちゃんも母ちゃんも元気かな?」なんて、ぼーっと考えながら、ふとスマホで「ふるさと」と検索してみた。

すると、検索結果に「ふるさと納税」という言葉が並ぶ。予想外だ。そもそも、ふるさと納税ってよくわかっていない。そういえば最近よく聞く言葉だ。
「もしかして、ふるさと納税っていわゆる増税なのかな…?? 給料は増えないのに今よりもっと税金を納めることになるのかぁ……ブツブツ……」

「なにひとりでブツブツいうとんねん。失恋でおかしくなってもうたんか?」 とニシカワ先輩が、珍しく心配そうにこっちを見ている。

「いえ、“ふるさと納税”って何ですかね。 増税されるってことですか?」

「自分なんも知らんな。 ふるさと納税は税金とちゃうわw “自分の意志で自治体に寄付金を送る”制度のことやで」とニシカワ先輩。

「え、そうなんですか? なるほど、自分のふるさとに寄付金を送ってふるさとを応援するってことですかね……?」

「……おいおい。ふるさとの名称で勘違いしやすいが、自分のふるさとだけでなく、日本全国どの自治体に寄付してもいい。応援したい、好きな自治体などに寄付できるんだ」 と半笑いで話すオオタ部長。

そんなにおかしなこといったのかな……。納税なんて付けたら勘違いするに決まってるじゃん。

ふるさと納税のメリットとは?

(写真=yoshi0511/Shutterstock)

「それにしても、自治体に寄付するお金があるって、みんなそんなに生活に余裕あるんですかね?」 と素朴な疑問を口にする。

「そういう訳ちゃうやろっw ふるさと納税は、年間の合計寄附額が2,000円を超えたら、一定の上限はあるが、所得税から還付、住民税から控除が受けられることになっとるんや。上限額は年収とかによっても変わるんやけど、2,000円を超えた分がまるまる還付・控除になる場合もあるんやで。実際にいくら控除されるか、サイトで計算してみ」

早速調べてみると、ふるさと納税にて住民税から控除される上限額が一目でわかる計算ソフトがいくつかみつかった。

先輩の言うとおり、控除金額は、年収以外にも、寄付額、世帯構造等で変動があるらしい。

ボクの場合、『年収350万円』。 『配偶者』 、『扶養家族』無しで一度シミュレーションしてみると、“36,329円” の寄付額までが住民税から控除可能になるという。

「おっと、ふるさと納税で寄付したからといって、全員が全員、今収めている住民税から自動的に控除される訳ではない。

“確定申告”もしくは“ワンストップ特例制度”を利用した場合、翌年度の住民税から控除されるんや。大部分のサラリーマンはワンストップ特例制度を利用することになるやろうな。要はカンタンに申告できますよぉってことや。

でもこの制度、利用できる人には条件があって、元々確定申告をする必要のない人であったり、1年間の寄付先が5自治体以内であるとか、そこもしっかりと抑えときやぁ」 とニシカワ先輩。

「かしこまりました! しっかり覚えておきます!」

「ちなみにキミの場合だと、36,329円以上のふるさと納税を納めることがもちろんできるが、それ以上の額は住民税控除の対象にはならないことも覚えておきなさい」

「はい!部長、ありがとうございます!」

「おーそやそや。寄付を受けた自治体は、お礼として地域の名産品、特産品を送ってくれるんや。つまり、2,000円の負担でお礼の品がもらえるもんやから、ちょっとしたブームになっとるんっちゅーわけや」 と先輩が間を割って入ってきた。

「えー!? 寄付すると2,000円で、さらにお礼の品ももらえるんですか? それじゃあ、ボクもしたいです」

「そやそや、まとめると、例えば、九州出身の人が就職等で東京で住み始め、ふるさと納税で九州のどこかに36,000円分を寄付すると、A4等級の豊後牛のしゃぶしゃぶセットが貰えて、なおかつ東京に納めるはずだった住民税36,000円が九州に納税される。ということになるということだ」

「へぇ~、2,000円でその地域の特産品も食べれて、納めたい自治体に納税できるってすごく素敵な仕組みですね」

「ところがだ、お礼の品を豪華にする自治体がどんどん増えてきて、返礼品競争が激化してしまったんだ。寄付する側は、実質2,000円の負担で、“豪華な返礼品”を手に入れられるなら、その自治体に寄付しようと思うだろう」と、いつもの通り落ち着いた部長の補足が入る。

「豪華な返礼品ってなんですか?」

「たとえば、対象店舗で使用できる5,000円分の商品券や電子マネー、家電製品、パソコン、貴金属、ゴルフ用品といったものだ」

「お礼の品には地域の特産品もたくさんあるで。特産品であったら、寄付した側も貰って嬉しいだろうし自治体も地域のことをよく知ってもらう機会になって、お互いメリットがあるやろな。そやから、肉や魚、野菜や果物、工芸品などの特産品がお礼の自治体が多く人気もあるんや。また、その自治体でしか使えない商品券や宿泊券、イベント招待券なんかも、自治体に足を運んでもらえるわけやから、経済の活性化につながるやろうな」 とニシカワ先輩が間を入ってくる。

「ところが、お礼が高額な品物になると、“自治体を応援する寄付” というより “品物が目当ての寄付” になってしまう。これでは、寄付という本来の趣旨からは程遠いな。ふるさと納税のポータルサイトがいくつかあるから、ちょっとお礼の品を調べてみるといい」

さっそく調べてみると、ふるさと納税に関するポータルサイトがいくつか見つかった。
検索上位のサイトを見てみると……

お礼の品には、肉、魚、米、野菜、果物、お菓子などの食品にはじまり、お酒、雑貨、日用品、宿泊券、ゴルフ場やスキー上の利用券、花火大会などのイベント招待券、化粧品、服飾関係、装飾品などがあり、まるで通販サイトを見ているようだ。

自分のふるさとを調べてみると、特産の果物がお礼の品になっていた。東京ではあまり見かけないので、本当に懐かしい……。せっかくだから、自分もふるさと納税をやってみようかな。多少でも生まれ育った“ふるさと”に寄与することができるなら、やらない手はないだろうし。

「あ、ニシカワ先輩も当然やってますよね。それも返礼品がお菓子のところw」

「ぬっ!」お菓子くわえたニシカワ先輩が振り返る。

「いくら納税したんですか?え、○○円。○○円って・・・お給料安いですねwww」

・・・・・・・(殺意のある空気が流れている)

 

次回へ続く。

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※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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