【“正しい”投資教育の機会を見つけるために、私たちが知っておくべきこと】タダより高いものはない RIA(投資助言業者)の強み RIA JAPAN おカネ学株式会社 代表取締役 安東隆司

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日本ではまだ認知度の低い投資助言業(RIA:Registered Investment Adviser)として活躍する安東隆司 代表取締役は、前回の第一回で、日本人が投資に対して積極的になれない、日米の投資マインド格差を指摘。その根本的原因は“投資教育の不足”にあると述べた。

連載第二回目となる本記事では、さらに詳しく、日米の金融事情に違いについて触れながら、日本の金融業界の仕組みそのものの問題に切り込む。

「米国では投資顧問業者の 95%以上が契約残高の一定料率を受領する形態」だそうですが。実情を教えてください。

安東氏:

日本では「コミッション(手数料)・ビジネス」が主流となっています。主に投資信託のケースが顕著ですが、こちらは運用開始時に販売手数料で3%支払う形態が多くなっています。

この場合、銀行は販売会社となりますが、販売手数料の約半分が銀行の収益として還流されています。そして投資信託を乗換える度に3%の手数料を支払い、日本の投資信託の平均保有年数は2013年度末で2.0年しかありません。

販売手数料もコミッション(手数料)の一つです。投資家の利益と販売者の利益は反対方向で利益相反が起こりやすいです。乗換えると銀行は収益が上がり、投資家は手数料を払う。例えば、100万円で投資を始めると、販売手数料3万円、元本は97万円になります。そして元本は97万円の3%運用で2.9万円になり、1年で1.5%の信託報酬を払うと、結果98.4万円となり、投資を始めた頃より少なくなる、といったイメージです。

また、売買手数料もコミッション(手数料)に含まれます。だから販売会社としては頻繁な売買を行っていきたいのです。証券の担当者は今のテーマやチャートを駆使して売買を促します。頻繁な売買を推奨すると、その分担当者の収益が上がる姿こそが従来のコミッション・ビジネスなのです。

これに対して、世界的に広がりを見せているのが契約残高×料率方式です。100万円の資金残高1%の1万円を信託報酬や投資顧問報酬で受け取るといったスタイルです。投資を始めた元本の100万円は変わらず、報酬1%、3%の運用ならば元本が101万円、103万円となるというイメージです。

「販売手数料がある初年度以外は、違わないのではないか?」という質問を受けますが、お客様に対する方向性が全く違います。誠実なアドバイザーの理想は「販売手数料を受取らない」ことです。お客様が商品を頻繁に売買しても、高い運用コストの商品をご購入しても販売手数料はアドバイザーに入りません。

RIA、すなわち投資助言業者は、法令上、販売手数料を受け取ることができません。契約残高×料率方式では、むしろ頻繁な売買や、高い運用コストの金融商品はお客様の契約残高を減らすことになってしまいます。

“安くていいもの”を探すこと、場合によっては“売買しない”という選択だってあり得るのです。そして100万円の残高が102万円、104万円と増えた場合、報酬も1万200円、1万400円というように少しだけ増えていくわけです。「お客様の運用の成功=RIAの成功」となり、お互いにWIN-WINの関係で、RIAは利益相反が少ないビジネスということです。

日本において、なぜRIAは広がっていないのでしょうか。

投資家目線で利益相反が比較的少ないのにも関わらず、日本ではRIAビジネスの普及はまだ進んでいません。米国ではRIA(投資助言業者)は26,000業者、日本で独立系投資助言業者はおそらく数100業者です。「卵が先かニワトリか」のような話ですが、投資家にRIAの業務が認知されていない、従ってRIAを目指す事業者が少ないということでしょうか。

情報やアドバイスにフィーを払う習慣が日本では未成熟です。既存のコミッション(手数料)・ビジネス担当者は情報を無料提供しており、日本ではそれに馴染んでいるために投資等の情報提供、教育機会を持つことに対してフィーを払うことに慣れていません。

米国では「プロのRIA(投資助言業者)にフィーを払い、商品選択アドバイスを受けた方が合理的だ」という認識が進んでいます。米国に在住したことのある日本人富裕層の方は「安全と教育はお金を出して買うもの」という考え方を持っている、と最近耳にしました。

RIA(投資助言業者)は知名度やイメージも重要です。RIA業者の知名度が少ないため、お客様の中には契約をして安心かどうか不安に思ってしまう方もいらっしゃると思います。しかし、当社のケースでいえば、お金はお客様の契約した金融機関にあり、当社ではお預かり致しません。

現状、自助努力が大切ということであれば、日本の資産形成層は、どのようなことに気をつければいいでしょうか。

金融を使いこなすチカラが重要です。米国での有価証券の活用比率と、日本の預金の比率が約53%とほぼ同じです。第一回でも述べたように、金融に対する授業が欧米で実施されているのに対し、日本では不十分です。結果“投資は怖いもの”と考える日本人が多いのです。

また、バブル以後の日本経済に投資した方には、投資の成功体験が少ないでしょう。株価は下がっている期間が長く、一度投資に失敗すると「もう、投資はしない」と考えている方も多いのではないでしょうか。

この状況を打破するためには、金融に対する知識不足を補うための金融経済教育「パーソナル・ファイナンス」の普及が必要だと思います。

社会人になるまで、「パーソナル・ファイナンス」を受ける機会にあまり巡り合えないという現実があると思います。書籍・経済誌などからしっかり情報を収集し、そのうえで信用できるアドバイザー、そして、メンター等を探す方法もあると考えます。

>><3>iDeCoと積立NISAとは 資産形成層が学べる場所を創りたい へ続く(提供元:株式会社ZUU)

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