【“正しい”投資教育の機会を見つけるために、私たちが知っておくべきこと】正しい金融知識を学ぶことで投資マインドが醸成される RIA JAPAN おカネ学株式会社 代表取締役 安東隆司

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日本人はなぜ、投資に対して積極的になれないのだろうか。家計の保有資産の内訳を見ても、投資よりも預貯金の割合が多く、アメリカの一般家庭と比べても、その差は顕著に表れている。

内閣総理大臣登録の投資助言業を営む安東隆司氏は、日本人の投資マインドが醸成されない理由の一つに金融教育の不足があると指摘している。現在は書籍やWEB記事はもちろん、専門学校で教鞭をとるなど、教育事業にも注力している。

なぜ、そのような思いに至ったのか。思いの源流をたどりながら、全三回にわたり、私たちが投資を行ううえで注意すべき点など解説してもらった。

まず安東さんのキャリアについて教えて下さい。

安東氏:

1989年、バブルの真っ只中に三和銀行に入社しました。現在の三菱東京UFJ銀行です。当時としては珍しく、17年間のキャリアの大半はリテール関連部門で業務を行っていました。

融資部門でありながら不動産会社に毎週訪問し、住宅ローンを紹介してもらうという活動によって“目標達成率東日本一”を獲得した経験があります。その次に担当したのがアパートローン業務です。長らく融資がストップしていた賃貸住宅融資をリテール審査部長とひざ詰めで協議し、10億円単位の融資を実行しました。

プライベートバンキング(PB)部門のテストケースがスタートしたのもこの頃です。ノルマはありましたが、私は“お願い営業”が好きではありませんでした。

そこで遺言や相続のニーズ、それに伴う不動産の活用や売買、資産管理会社活用など、お客さまが必要とするソリューションを提案して喜んでいただく、“感謝もされ業績も上がる”スタイルの仕事にやりがいを感じていたのです。

社内掲示板にPB部門設立の提案をすると、頭取から私宛にメールが来て驚きました。私のテストケースが取り入れられ、PBの前身にあたる“資産家RM”(リレーションシップ マネージメント)という組織が後に立ち上がることになりました。当時の銀行は企業融資の不良債権で苦しみ、次のビジネスを模索している時期に、このPBという概念が瞬く間に商業銀行全体に広がっていきました。

2006年に私は米メリルリンチ(Merrill Lynch & Co.,Inc.)との合弁会社に出向しました。そこで最先端の金融商品に触れて刺激を受けたと同時に、本当に素晴らしい会社だと感じました。また、「今後のライフワークとして、PBビジネスに注力したい」と強く決意を固めた時期でもありました。しかし、出向中の三菱UFJメリルリンチPB証券に転籍できない人事条項を知ったため、三和銀行時代から17年間勤務した三菱東京UFJ銀行を退社することにしたのです。

2007年にフランス、ソシエテ・ジェネラルのPB専業の信託銀行に転職しました。そこは系列やブランドなどは一切無く、“とにかく世界最高峰の商品をもってきて、お客さまのためになることをやってください”という素晴らしいコンセプトを掲げる“真のPB”でした。

当然、お客様はハッピーになり、販売ノルマも“この商品を売らなくてはならない”というプレッシャーもありませんから、私たちもハッピーになれる。

これで日本の銀行、米国の証券、欧州の信託銀行でPBを担当し、それぞれの文化の違いを体感することができました。

「おカネ学株式会社」創業の理由と理念について教えて下さい。

話は前後しますが、三和銀行に勤務していた1994年からFP(ファイナンシャル・プランナー)になり、「顧客の利益を最大限に実施しなければならない」という理念に共感を覚えていました。

PB部門では、お客様のご意向を最初に聞き、解決策を探して提案します。こちらはFPの理念に合致する部分であると感じたからこそ、私はPBの業務に注力していました。

“自分の親にも勧められるもの”しかお客様に勧めない、“お客様のために最善のもの”を提供する。PBはお客様ニーズに合った商品をオーダーメイドで作る仕事でした。

そして、私は海外ETF(上場投資信託)と出会います。投資信託は販売手数料が3%前後のものが主流ですが、海外ETFは販売手数料が0%です。(売買手数料は証券会社によって異なります)また投資信託の多くは所有しているだけで1.5%前後の信託報酬が天引きされますが、海外ETFでは信託報酬が例えば約0.15%と低いものもあります。

この海外ETFを使ったポートフォリオ運用は、コストが低く透明性も高いこともあり、お客様に大変喜んで受け入れていただきました。また、このポートフォリオ運用は1週間で現金化できる流動性に優れており、私たちがお客様へ提供していく次なるサービスは海外ETFを使ったポートフォリオ運用だと思いました。ここから毎日、海外ETFとの“にらめっこの日々”が始まりました。

海外ETFポートフォリオの運用によってお客様の財産が増えることで、我々の報酬も少しだけ増えるため、“お客様の財産を増やす”ことがバンカーにとってのメリットとなります。

必要のない、ノルマ達成目的の売買手数料稼ぎとも全く無縁です。頻繁に売買してメリットがあるのはお客様ではなく証券会社です。それに対して、海外ETFポートフォリオのようにお客様との契約残高に連動した報酬は、“お客様と共に成長”が可能となり、利益相反が少ないカタチとなります。

そして、私は2015年に独立してRIA(Registered Investment Adviser)、すなわち投資助言業の道に進むことを決意します。私の尊敬するプライベート・バンカーの方々は、お客様の成長を共に目指し、RIAで独立していました。また、金融機関の収益性追求のために犠牲になるお客様を少なくしたい、金融経済教育をライフワークとして取り組んでいきたいという思いもありました。

販売手数料を受取らないビジネスは日本ではまだまだ認知度が低いですが、本場米国においてRIAは26,000業者もあります。日本のRIAはわずか数100業者という状況です。

日本のRIAが中立な立場で活躍できるような環境を整えることが必要だと感じています。私自身が米国で成功しているRIAを日本で行うことで、多くの投資家、資産家がハッピーになるような世界を造っていきたいと考えています

一般的に日本人は“貯蓄好き”アメリカ人は“投資好き”というイメージがありますが、日本と米国の金融事情の違いについて教えて下さい。

仰る通りで、米国では働いて得る所得が3分の2、残り3分の1は、投資によって“おカネに働いて”もらっている財産所得です。日本では、勤労所得:財産所得は約8:1です。運用のリターンも日米では違います。1993年からの20年間で、米国2.32倍、日本は1.15倍です。

家計のうち有価証券は米国では53.2%、日本は16.1%です。それに対して、預貯金は米国で12.7%、日本では53.1%になっているのです。要するに米国では、日本の預貯金のように有価証券投資が行われているということです。

このような差はマインドとカルチャーの違いによって生じるものです。端的に言えば、日本は投資や金融教育の機会が少なかったため、投資が“怖いもの”と思って寄り付かない。思い切った投資もできないから、当然、成功体験もない。このように考えられている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに投資にはリスクはありますから、勉強をしたり情報を取集したりしなくてはならないのですが、残念ながら日本では、セールストークが優先になって正しくない情報も多いです。

現状、米国では正しい金融知識を学ぶ機会も多いです。だから投資マインドが醸成される。日本でも金融の勉強「おカネ学」を広めていく必要があると思っています。

>><2>タダより高いものはない 販売者の情報を鵜呑みにせず取捨選択を へ続く(提供元:株式会社ZUU)

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