ソーシャルレンディング急拡大の背景

(写真=Andrey_Popov/Shutterstock)

ソーシャルレンディング市場が今、急拡大を続けている。2012年には世界で12億ドルであったソーシャルレンディングの市場規模は、米Transparency Market Research社の調査によると2015年には261億ドルまで拡大している。また、2016年から2024年にかけて、年平均成長率48.2%の速度で成長し、2024年には市場評価額が8,978億ドルに至ると予測されている。

では、このソーシャルレンディングサービスの急拡大の背景とは一体、何であるのか。以下、2つの事象を説明する。

ソーシャルレンディング急拡大の背景 ①IT技術の飛躍的な発展

皆さんは「ムーアの法則」という言葉を聞いたことがあるだろうか。 「18か月(1.5年)ごとに半導体の集積密度が倍になる」という米インテル社の創業者の1人であるゴードン・ムーア氏が提唱した指標だ。

半導体の集積密度が倍になるというのは、同じ面積での計算処理能力が倍になることを意味し、同じ計算処理能力の半導体の面積は半分で済む、つまりコストも半分になるというIT業界の有名な経験則である。

実際、「iPhone6の計算処理能力は、1969年に人間が初めて月に到着した際のアポロ11号の計算資源よりもスペック上は120,000,000倍も高い。(『Your smartphone is millions of times more powerful than all of NASA’s combined computing in 1969』)」現在では多くの方がそのような高いスペックのスマートフォンを購入できるほど計算資源のコストは下がったのだ。

そして、その安価になった計算資源を使用して、融資業務の軸ともいえる借手の信用分析を行う新興IT企業が生まれ、2005年にイギリスでZopaがサービスを開始して以降、ソーシャルレンディングサービスが相次いで立ち上がった。

(出典:クラウドクレジット株式会社)



ソーシャルレンディング急拡大の背景 ②リーマンショックを経て厳格化した融資規制

もう1つの理由は、2008年のリーマンショックを契機とした中小企業、個人に対する融資規制の厳格化だ。

リーマンショックを経て、主に国際的な金融機関は、貸し倒れの可能性がある資産に対する、資本金など自己資本比率の維持が求められるようになった。

その結果、以降の景気後退局面において大手企業よりも中小企業・個人向けの貸付は抑制されたため、資金を必要とする層が新たに生まれたのだ。

一例では、銀行の貸付の活発さを示す指標に「預貸率」(貸付/預金)があるが、2008年のリーマンショック後には米国の預貸率は約100%から2012年には約81%まで低下している。これは、銀行が集めた預金に加えて社債発行などで市場から資金調達し、貸付を行っていたのが、金融危機後には預金に対して8割しか貸付しなくなった、ということである。

貸付は、増えると同時に負債も増えて、自己資本比率が維持できなくなる
(⇒貸付を増やしにくい)


(出典:クラウドクレジット株式会社)

このように、新興IT企業が借手の信用審査を、コストを抑えて提供できる基盤がインターネット上に整ったところに、既存の金融サービスで補えない資金需要層が生まれた背景等もあり、ソーシャルレンディングは急速に広がったのであった。

ソーシャルレンディング事業者の役割とは

では、実際にソーシャルレンディング事業者は、借手に対してどのようなサービスを提供しているのであろうか。各社とも特色はあるが、おおむね貸付が成立するまでの以下のプロセスと自社を「投資判断のための情報を提供する会社」として位置付けている事業者は多く共通している。

●ソーシャルレンディングプラットホームでローンを借りるまでの一般的なプロセス

1.  登録審査

借手がプラットホームでユーザー登録。過去の金融機関の利用実績やクレジットカード利用履歴から審査対象を選別する。

2.  格付け(レーティング)

借手の勤務年数、所得、返済実績、資金用途、他の融資の借入状況などの情報のほか、外部の信用情報機関からの情報や保証人または担保の有無などを加味して、借手の信用度に点数つける(スコアリング)。そして、この点数ごとにグループに分けて格付け(レーティング)を行い、貸付条件を設定する。

3.  専門家による評価

信用分析の専門家が、例えば資金用途が事業用途の場合は販売先が1社に偏りすぎていないかなど、定性的な見方を加味してレーティングを調整する。

4.  融資条件の確認

借手と融資条件について確認し、合意を得る。

5.  投資の募集

貸付案件として公開し、一定期間を募集する。一定の金額に達さない場合は、特に設備投資など特定の金額が必要な場合は、必要額に達さないと不成立になる。

以上のような流れになる。
上記プロセスの中でも、『2.格付け(レーティング)』にある “スコアリング”は、ソーシャルレンディングのサービスの中核をなしており、改善のために多くのリソースが割かれる。また、借手の信用情報が入手できない場合は、フェイスブックなどソーシャルネットワークの情報をスコアリングに使う事業者もあるのだ。

このように説明すると、ソーシャルレンディングは、『テクノロジーを基盤とした、非常に洗練されたサービス』に聞こえるが、実際には借手の金融知識レベルなどを理解することがサービス成功の大前提であり、その意味で高度な技術と地道な作業が融合した金融サービスといえるであろう。

参考:
Your smartphone is millions of times more powerful than all of NASA’s combined computing in 1969
Peer-to-Peer Lending Market – Global Industry Analysis, Size, Share, Growth, Trends and Forecast 2016 – 2024

 

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