所得税+住民税 最大55%課税⇒法人を設立⇒法人税 最大33.8%課税? “資産管理会社”を設立するメリットは?

(写真=cgstock/Shutterstock.com)

資産管理会社を設立することで得られるメリットは、大きく分けて以下の3つです。

・法人への所得分散により毎年の個人の所得税の節税になる
・将来の相続の発生に備えて相続税の節税と遺産分割の対策ができる
・法人の活用による資金調達能力の向上が見込める

税制の改正などの背景から、個人の所得に対する所得税は、年々増加する傾向にあり、また、亡くなった人が遺した財産に対して課税される相続税は、近年その納税の対象者が拡大されました。

資産管理会社を設立することにより、所得税と相続税の節税が期待できるだけではなく、資産管理会社という法人格を持つことで、厳格な会計処理の適用や資金管理が求められる事から、個人事業主よりも社会的な信用力が増し、金融機関からの資金調達能力の向上も見込むことができます。

STEP1「個人の所得税の計算方法」を知る

法人を設立することで、なぜ、所得税の節税になるのかを理解していただくためには、まず、所得税がどのように計算をされているのかを理解していただきたいと思います。
(※資産管理会社の設立を検討しているため、不動産所得がある個人を前提とします)

個人の不動産所得は、その不動産から得られる家賃収入や地代収入などから、その収入を得るためにかかった必要経費を差し引いて計算されます。

この不動産の登記の名義が個人なのであれば、その個人に対して不動産所得として所得税が課されます。

個人の所得税は、この他に、給与所得や事業所得など10種類の所得に分類され、1年間(11日から1231日まで)に得た総所得金額から所得控除額(社会保険料や生命保険料の支払による控除や、扶養している家族がいる場合の扶養控除などが該当)を差し引き、これに所得税率を掛けて計算されます。

この所得税率は累進課税という方法が採用されており、課税対象の金額が大きくなればなるほど税率も上がる仕組みとなっています。現行の所得税制では最高税率は45%にもなります。

また、個人に対する税金は、国に対して納める所得税だけではなく、住所のある県や市などに納める住民税もかかります。この税率は所得の大小に関わらず10%で課されるため、所得税と合わせて最高で55%にもなります。

ただし、所得を10種類に分類して計算するため、株式の譲渡による所得や不動産を売却したことによる所得などは、譲渡所得を計算する場合、「※1長期譲渡所得の特例」の要件を満たすことで30%の税率から15%に引き下げることができます。

「長期譲渡所得の特例」以外にも「※2居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」などを適用することでき、要件を満たせば、所得税、住民税の控除が受けられます。

しかし、その他にも、住民税と共に、「※3復興特別所得税」が課税されます(2.1%の割合で課税される所得税に上乗せして課税されます)ので注意が必要です。

また、不動産所得と事業所得、給与所得の3つの所得は、損益通算といって他の所得のマイナスと相殺をすることが可能なので、総所得金額を計算するときに不動産所得や事業所得がマイナスとなっているときは給与所得と相殺出来て有利となります。

長期譲渡所得について: 譲渡した年の11日現在の所有期間が5年を超える土地や建物を売ったときの税額の計算は、次のようになります。
・課税長期譲渡所得金額の計算
「課税長期譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除」

自宅を売却して利益が出てしまった場合には、特別に3,000万円を差し引く事が出来る「居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例」を受けることで、納税をしなくて済む可能性があります。しかし、この制度を受けるには確定申告を提出することが要件となっているので注意が必要です。

復興特別所得税について: 源泉徴収義務者の方は、平成2511日から平成491231日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興特別所得税を併せて徴収し、源泉所得税の法定納期限までに、その合計額を国に納付していただくこととなります。

STEP2「法人の法人税の計算方法」を知る

法人税を計算するときも、個人の不動産所得を計算するときと同じように、法人が得た収入金額 (益金) から経費 (損金) を差し引いて、この差し引いた金額に法人税率を掛けて計算します。

法人の場合は個人とは異なり、所得を10種類に分類するような仕組みはありませんが、法人というのは基本的に営利を目的として設立されていると考えられているため、法人の活動から得られた収入はすべて法人税の計算の対象になります。

これだけでは、個人の方が有利に感じるかもしれませんが、法人の場合は、法人の得た収入からその法人を運営するためにかかった経費は、交際費や寄付金などを除いては経費にすることができます。

個人の事業所得や不動産所得を計算する際に、経費を収入から差し引くことはできますが、その事業所得や不動産所得の収入を得るために直接かかった経費に限られます。経費にできる範囲が個人と法人では全く異なり、法人の方が明らかに経費にできる範囲は広がります。

■STEP3「法人を設立することで得られる個人の所得税の節税となる仕組み」を知る

所得税と法人税の計算方法に違いはありますが、不動産に限っていえば、収入から経費を差引いて計算するという点で大きく変わりはありません。

しかし、所得税の税率が累進課税であり、最大で45%になるにも関わらず、法人税の税率は2段階で15%から最大で23.2%です。これに法人住民税を考慮した法人実効税率という割合でみても、※最大で33.80%が上限となっています。

一般的な中小法人の法人実効税率は、所得が年800万円超の場合、平成28,29年度で33.80%、平成30年度で33.58%となっています。

個人は所得税と住民税を合わせて最大で55%にまでなってしまうことを考えると、個人で得ていた収入を法人に分散することで、税率を引き下げる効果があります。

ただし、法人を設立してまで個人の所得税を引き下げる効果があるかどうかは、個人の所得規模によりますので慎重に判断が必要です。

(こちらの記事は、2018219日現在の情報に基づき作成された記事です)

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【執筆者プロフィール】

山田 麻美(やまだあさみ)税理士

商業高校に進学し、高校3年生のときに日商簿記検定の1級に合格したことで、税理士試験の受験資格を得られたことがきっかけで税理士を目指す。

法人税法、相続税法、消費税法の国税3法を取得し、税理士登録。

個人の税理士事務所から税理士法人での実務経験を経て20142月に独立開業し、中小企業経営者の税務顧問をはじめ、不動産投資家及び地主の節税対策、相続税の生前対策を得意としている。

お問い合わせ先:
山田麻美税理士事務所
住所:東京都新宿区西新宿3-9-3第三梅村ビル303
TEL:03-6304-2304 FAX:03-6300-0578

・税率等の参考資料
国税庁HP「所得税率」
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/2260.htm
国税庁HP「法人税の税率」
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5759.htm

 

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