
第115話 不動産投資がもたらすリスクヘッジ
(写真= takasu/Shutterstock.com)
前回:コツコツ節約した小さな金額でも、今すぐに始められる積立投資について学んだ。
■大手企業を支える不動産投資
いつものように少し早く出社して新聞を読んでいると、大企業の経営の安定化に不動産収入が一役買っているという記事をみつけた。
記事を読み進めてみると、誰もが知っているような大手企業も不動産事業によって地代や家賃収入を得ており、景気の変動や需要の変化による影響を直接受けずに安定的に収益を確保していることがわかった。
「なるほどね~」
思わず漏らした独り言を、ちょうど出社してきたフクダ係長は聞き逃さなかった。
「おはよう! 朝から何に感心しているんだい?」
「おはようございます。大手企業も不動産事業によってリスクヘッジができているという記事を読んで納得して、独り言が出ちゃいました」
「ほうほう、いい記事を見つけたね。リスクヘッジとしての不動産投資は、個人投資家も参考になる方法だからね。自分の資産は自分でつくる、自分で守るということを実践するため、ポートフォリオに株式や債権だけじゃなく不動産投資を組み込む投資家も増えているんだよ」
なるほど、個人投資家のリスクヘッジとしての不動産投資か……。これはさっそく調べてみる価値がありそうだ。
■分散投資の選択肢として注目を集めている不動産投資
(写真= Vintage Tone/Shutterstock.com)
ポートフォリオは国内と海外、株式と債券をそれぞれ組み合わせ、分散投資するという方法が基本だと思っていたが、それに不動産投資を組み込むと、いったいどういうメリットがあるのだろう?
いろいろ調べてみた結果をまとめてみると……、
・安定した収入を得やすいインカム資産
・物件によっては利回りが銀行預金の金利に比べて高い
・インフレ時に資産価値が目減りしにくいインフレヘッジ資産
といったところが不動産投資の主なメリットとして挙げられていた。
こうして書き出してみると、大手企業の経営が不動産事業によってリスクヘッジされているというのも納得だ。とはいえ、高額な資金が必要になるので、個人投資家が真似するのはこれまで難しかった。
ところが近年、不動産小口化商品が登場したことで、状況が大きく変わってきている。少額から不動産投資ができるので、ポートフォリオに組み込む個人投資家が増えているのだ。つまり、個人でも大手企業のような株式・債券・不動産という分散投資が可能になったわけである。
また、不動産小口化商品は、資金を少額にわけて複数の不動産に分散投資できるので、不動産投資の中でリスクヘッジができるところもメリットとなる。
リスクヘッジとしての不動産投資は大手企業同様に、個人投資家でもその効果は享受できるはず。不動産投資を組み込むことを前提に、もう一度ポートフォリオづくりを考えてみるのもよさそうだ。