
第102話 不動産小口化商品はどうやって選べばいいの?①
(写真= Robert Kneschke/Shutterstock.com)
前回:不動産小口化商品に興味を持ち、実際に投資するまでの流れについて学んだことで、ますます挑戦してみたくなった。
■投資は手段であって目的ではない
今日は珍しくハセガワ部長、フクダ課長と3人で、得意先回りで外出となった。その帰り、「今日は暑かったし、ビアガーデンでも寄って行くか?」と久しぶりに部長のお誘いが。最近はこうした上司との「飲みニケーション」を嫌がる人もいるみたいだが、今日は断る理由もないし、何よりごちそうしてもらえるので「はい!」と即答。
「ところで、不動産小口化商品の研究は進んでるのか?」
ひととおり雑談が終わった後、部長が切り込んできた。
「はい、実際に投資するまでの流れを把握できたので、あとはいい商品があれば挑戦してみたいなと思っています」
「ほう。で、どんな物件を狙っているんだ?」
「そこなんですけど、どうやって物件を選んだらいいかがわからなくて……。エリアと利回りは大事かなと漠然と考えてはいるんですけど」
「う~ん、それじゃ本末転倒だな。小口化商品に魅力を感じているのはわかるが、漠然と投資したいではなく、“どのエリア”の“どんな物件”に“どれくらいの期間”で“いくら投資”して“どれくらいの利回り”が欲しいのかを自分で判断して商品を探さないとダメだぞ」
と、部長は渋い顔をしている。
「投資すること自体が目的になっていてはダメってことなんだよねぇ」
課長も同じ意見みたいだ。
「なるほど……確かにそうですね。とにかく不動産小口化商品に投資してみたいという気持ちが強くて、肝心なことを見失っていました。あと、調べれば調べるほど、どの商品も魅力的に見えてしまって、なかなか絞り込めなくって……」
「どの会社も自分たちの商品のいいところをPRするわけだし、どれも魅力的に思えるのは当たり前だな(笑)」
「そうなんですよ! それでかなり迷っています」
■最初に考えるべきは資金力?
(写真= Inked Pixels/Shutterstock.com)
「まずは、自分が投資できる金額があるだろうから、そこでだいぶ絞り込めるんじゃないかな? 自分の出せる金額以上の商品を検討しても時間のムダじゃない?」
課長のアドバイスは的確だけど、ちょっと毒があるような、ないような?
「確かにそうですね。まずは自分の資金力が基準になりますね」
「そうそう、そのあとエリアから絞りこんでいったらどうだろう? たとえば、安定感のある都心の人気エリアにするとして、立地の良し悪しがわかる土地勘のある場所をピックアップする。そのなかから、居住物件なのか、オフィス物件なのか、商業施設なのかを選んで、最後に運用期間と利回りをチェックすればいいんじゃないかなぁ。」
「やっぱり都心の人気エリアが安心ですよね? 京都なんかの地方再生に関連するものも面白そうだなと思うんですけど……」
「そこは人それぞれ。その決断は自分でしないとダメだ」
今日の部長は厳しい……。
「あくまでも個人的な意見だけど、最初はやっぱりスタンダードなものを選んだ方がいいと思うよ。オーソドックスかもしれないけどさ。それで経験を積んでから手を広げても遅くはないんじゃないかなぁ」
「やっぱり、そうですよね。あと、投資する以上は利回りも気になるんですよね」
「それも自分がどこを重視するかで決まる話だ」
厳しいを通り越してちょっと怖い……。
「これまで何度も言われているだろうけど、投資は自己責任だからねぇ。利回りが高いということは一般論としてリスクも高いわけだから、そのバランスをどう考えるかに正解はないんだよねぇ」
「投資する以上、そういうこともひっくるめて全部自分で決めないとダメなんだ! ああでもない、こうでもないをやっていると、いつまで経っても前に進まないぞ!!」
「そうですね、もう一度しっかり考えてみます!」
かなり厳しい言葉だけど、正直そのとおりだと思った。昔から優柔不断だってよく言われていたので、決断力を身につけるためにも、どんな不動産小口化商品がいいのかをしっかり考えようと思う。もう一度、自分の選択基準を作って情報を集め直そう!(厳しいアドバイスもらえるのは期待されてるからだよ)