
第100話 匿名組合と任意組合ってなんだ?
(写真= Chinnapong/Shutterstock.com)
前回:改めて不動産小口化商品のメリット・デメリットについて学び、投資先としての魅力を再認識した。
■お金を出資するのが「匿名組合型」
不動産小口化商品のことを調べていくなかで、契約形態によってメリット・デメリットが異なるという情報を得た。ここで疑問なのが契約形態についてだ。調べてみる匿名組合型と任意組合型というものがあるようなのだが…ここは有識者に教えを乞おう。(そうなると思った)
「部長、すみません。不動産小口化商品の匿名組合型と任意組合型について教えていただきたいんですが……」
「ふむ、そういう質問が出るということは、だいぶ理解が進んでいるみたいだな」
「大まかな仕組みとメリット・デメリットについては理解できたと思うんですが、組合の話がどうにも難しくて」
「専門用語が多いから拒絶反応があるんじゃないか?(笑) まず、匿名組合というのは“商法”で定められているもので、投資家が匿名組合員、不動産特定共同事業者が営業者となって匿名組合契約を結び、その契約に基づいて不動産特定共同事業者が事業を行い、投資家は出資額に応じて事業から生じる利益を分配してもらえるという仕組みなんだ」
「え~と……全然わかりません」
「うむ、わざと難しく言ってみた(笑)」
「……」
部長ってこんなキャラだっけ?
「冗談だ、冗談(笑) 簡単に言うと、投資家は不動産特定共同事業者にお金を出資する。不動産特定共同事業者は集まったお金で不動産を購入して運営・管理を行う。そして、賃貸収入や売却益が投資家に分配されるってことだ。これならどうだ?」
「それならわかります。ぜんぜん難しい仕組みではありませんね」
「そうだろう? 法律用語や専門用語は難しくていかん。それでポイントは、事業の主体はあくまで不動産特定共同事業者になり、不動産の所有権は事業者に帰属するため、投資家の名前が不動産の登記簿に載ることがない。つまり匿名性があるってことだ」
「だから匿名組合なんですね!」
「そういうこと。それと投資家が出資額を超えて損失を負担することはないんだ。ここは重要なポイントだぞ」
■不動産を所有する「任意組合型」
(写真= Wasan Tita/Shutterstock.com)
「次に任意組合についてだが、こっちは複数の人が出資し合って共同の事業を行う任意組合を作るというものだ。こっちは“民法”で定められている。匿名組合は、組合という名前はついているが、それぞれの出資者と営業者との1対1の契約であり、出資者間には直接的な法律関係が生じないことが任意組合と異なる点なんだ」
「そうなんですね。ちなみに、任意組合における複数の人というのは、小口化商品に投資する投資家ということですか?」
「そうだ。そこには不動産特定共同事業者も含まれる。そして不動産の賃貸などの事業を行って、その収益を分配するわけだ」
「ということは、投資家も事業に参加するということになりませんか?」
「本来はそうなんだが、不動産小口化商品の場合は、“不動産の運営管理は不動産特定共同事業者に委託する”といった契約を盛り込むので、投資家自身が運営や管理を行う必要はないんだ」
「それなら安心ですね」
「待て待て、重要なのはここからだ。任意組合では投資家は現物、つまり不動産へ出資することになる。その不動産は不動産特定共同事業者から購入することが一般的なんだ。そして、保有分に応じて収益や売却益が分配されることになる」
「ということは、任意組合では投資家が不動産の所有者になる、ということですね?」
「そういうこと。少額の出資で不動産オーナーになれるわけだ。その代わり匿名性は低い」
「なるほど。匿名組合と任意組合の大きな違いですね」
「そうだな。実際に不動産を所有しているので、現金と比較すると相続税評価額が低くなるといったメリットがあるんだ」
「わかりました! 詳しく教えていただきありがとうございました」
部長にわかりやすく教えてもらったことで、組合の違いは理解できた(はず)。
ようするに、匿名組合型で利益の分配を受ける権利を取るか、任意組合型で実際に不動産を所有するかということだろう。
あとは、どうやって小口化商品に投資するのかを理解できれば、すぐにでも投資を始められそうだ! ゴールが見えたら俄然やる気が出てきたぞ!!(それが長続きするといいんだけどね)