
第71話 QRコード関連で伸びるのはどんな銘柄?
前回:世界中でQRコード決済の導入が進むなか、日本もQRコード決済の普及に向けて本格的に動き出したことを知った。
QRコード決済で注目すべきはどんな銘柄?
ニシカワ先輩とタカヤマさんの事務所での会話が、今までより親密になっているように感じてしまう……(思い込みでしょ?)。
静岡支店への転勤も真剣に考えたが、まだ踏ん切りがつかず、部長には伝えていない。何も決断できない自分が本当にイヤだ……。などと考えているところにタカヤマさんがやってきた。
「先輩、ちょっとお時間いいですか? この間、話題になったQRコード決済の関連銘柄について教えてください」
今日は事務所にニシカワ先輩もいるのに、自分に聞いてくれたことが正直すごく嬉しい! 一気に上がったテンションを必死に抑え、平静を装って答える。
「QRコード決済?(ちょっとトボけてみるけど、じつは予習済みだ)そうだね、考えられるのはすでに電子マネー決済を運営している会社、スマホ決済や収納代行サービスの会社、決済用の端末やQRコードを読み取るリーダーを製造販売する会社といったところかな」
「電子マネー決済の会社って、どんなところがあるんでしょう?」
「ネット通販大手や携帯電話会社、メッセージアプリの運営会社など、独自の決済サービスを展開しているところが、続々とQRコード決済を導入しているんだ。すでにあるサービスへの追加だから、そのまま多くのユーザーを囲い込めるのがメリットだけど、大手企業が多くて株価も高いところが多い。だから自分みたいに資金力がない人には手を出しづらい会社が多いね」
「なるほど……、それではスマホ決済や収納代行関連はどうなんでしょう?」
「こっちは発展途上の会社も多くて株価も比較的手頃だから、個人的には狙い目だと考えているよ。もし、QRコード決済で一定のシェアを確保したり、大手との連携が決まったりすれば、一気に業績が伸びる可能性もあると思う。実際、このカテゴリーには今年に入ってから株価が急上昇している銘柄もあるから要チェックだね」
「伸びしろが大きいってことですね!」
「そうだね。でもリスクもそれなりに大きいと思うから、どちらかといえばハイリスク・ハイリターンになると思う」
密かに予習していた甲斐があったぞ! これはけっこうポイント稼いだんじゃないか?
政策関連ならハズレなし!?
「QRコード関連銘柄は、俗にいうテーマ株やから注意が必要やで」
タカヤマさんに、うまく説明できて悦に浸っているところに、ニシカワ先輩が乱入してきた。僕たちふたりの会話を邪魔する気なんだ! そうに違いない!!(違うと思います……)
「どういうことですか?」
「あくまでも基本的にやけど、話題になっているテーマの関連銘柄っちゅーんは値動きが激しいんや。短期間で株価が急騰することもあるけど、落ちるときも速いんや。せやからハイリスク・ハイリターンという見方もあるくらいなんやで」
「そうなんですか、ちょっと怖いですね……」
「とはいえ、政府がキャッシュレス化を推し進めているやろ? “政策に売りなし”っちゅー相場格言もあるくらいやから、今後伸びていく業界なんは間違いないと思うで。きちんと調べて有望銘柄を買えば大きな失敗はないんちゃうかな。まっ、あくまでも個人的な意見やけどな。株式投資に興味がでたら“初心者が知っておきたい株式投資の基礎知識”をみてみるとええで~」
「さすがニシカワ先輩! 相場格言なんて初めて聞きました!!」
くそ~! また美味しいところを全部持ってかれてしまった。ニシカワ先輩を見るタカヤマさんの表情もどこかうっとりしているような気がする……(いや、だから思い込みだって)
ついに転勤を決断!
タカヤマさんにいいところを見せるつもりが、またもニシカワ先輩にお株を奪われてしまった。とはいえ、やっぱりニシカワ先輩の知識量や行動力は素直にスゴイと思う。先輩の下でいろいろ教えてもらってきたが、自分はそれに甘えて努力が足りなかったんではないだろうか? もともと熱意があるタイプではないし、どちらかといえば優柔不断なタイプだと思うが、自分ももうすぐ30代……このままじゃダメだ!
このとき、自分のなかで何かが吹っ切れ、ここ数日ずっと決断できなかった静岡支店への転勤希望を出す決意が固まった。
就業後、オオタ部長に個別の面談をお願いして静岡支店への転勤希望を伝える。
最初はちょっと驚いていた部長だったが、人に頼らずもっと成長したいし、投資にも真剣に取り組みたいという理由を伝えると、最終的には納得してもらえた。
じつは部長も、現状の中途半端な状態は気になっていたとのことで、「静岡支店で成長して戻ってこい」と激励までしてくれた。
正直不安も大きいが、もう後戻りはできない。とにかく前進あるのみだ! 新しい環境で仕事と恋、それと投資も頑張るぞー!(いろいろ順番がおかしいですが…)
次回へ続く。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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