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第68話 空き家問題と空き家ビジネス

前回:京町家への投資のことを知り、利回りだけではなく社会的意義に着目した投資もあることを知った。
第67話はこちら→

(写真=fumoto_s/Shutterstock.com)

目次[非表示]

  1. 1.増加する空き家が社会問題に
  2. 2.密かに広がる空き家ビジネスとは?

増加する空き家が社会問題に

前回京町家が減少しているという話を聞いて、ひとつ気になることがあった。それは、近頃、社会全体で空き家が増えているということだ。老朽化が激しい建物や増改築ができない建物、住人の高齢化など、さまざまな理由で空き家が急増しており、地方だけでなく都市部でも社会問題になっているらしい。

さっそくニシカワ先輩に聞いてみようと思ったが、今日も忙しいのか午前中に出かけたきり帰ってこない。そこでオオタ部長に聞いてみることにした。

「オオタ部長。今、全国で空き家が増えているという話を知って自分なりに調べてみたんですが、どうして空き家のまま放置してしまうんでしょうか? 売却するなり、賃貸物件にするなり、更地にして駐車場にするなり、いろいろ方法はあると思うのですが?」

「空き家問題か。おもしろいところに目をつけたな。それなら区役所の知り合いを紹介しよう。少しくらいなら時間作ってくれるだろうから、タカヤマさんと話を聞いてきなさい」
ということで、急遽区役所へ話を聞きに行くことに。期せずしてタカヤマさんといっしょに外出することになったが、これは嬉しい展開だぞ!

区役所を訪ねると、部長のアポのおかげですんなりと会議室に通された。

「はじめまして。部長のオオタが無理いって申し訳ありませんが、空き家問題についてお話をお聞きかせください」

「はじめまして、ツチダと申します。オオタ部長にはいつもお世話になっています。それでは、さっそく空き家問題の原因について説明させていただきますね。まず、空き家になっている建物は、築年数の古いの物件が多く老朽化が進んでいるため、買い手や借り手がつかないことが珍しくありません。だからといって解体することを前提に売却しようとしても、解体費用分の値引きを要求され、思うような金額では売れないことも多いんです」

「それなら更地にして売ればいいのではないでしょうか?」

「そう単純にはいきません。そもそも解体費用を払えない場合もありますし、更地にしてしまうと固定資産税が高くなってしまいます。さらに、建築した当時と今とでは建築基準法が変わっていて、接している道路の幅によっては一度更地にしてしまうと建物を建てられなくなってしまうケースもあるんです。そのため、住むことも売ることも貸すこともできない住宅は、解体するより放置するのがベター、ということになってしまうんです」
理由がわかれば納得できるところもあるが、なんだか理不尽な話だ。

「私の実家の近所に長年空き家のままの住宅があって、ずっと不思議だったんですが、そういう理由なんですね。庭は荒れ放題で、壁も一部剥がれ落ちていて、いつか崩れそうで怖いんです。管理もされていないので、勝手に使われることもあるかもしれないし・・・」
と、タカヤマさん。

「私たち自治体もそういった環境面、治安面で頭を痛めています。最近はとくに老朽化の進んだ空き家問題が増えてきたので、国が『空き家等対策の推進に関する特別措置法』というものを制定しました。それでようやく所有者への指導や命令、場合によっては強制的な解体まで行えるようになったんです。また、私どもの方で空き家を貸したい人と借りたい人を結びつける空き家バンクというものや、解体費用の補助といった対策も行っています。以上が空き家問題の概要となります」

なるほど、国や自治体がさまざまな対策をするということは、思っている以上に大きな社会問題であることは間違いないのだろう。

密かに広がる空き家ビジネスとは?


(写真=kai keisuke/Shutterstock.com)

ツチダさんにお礼をいって会社に戻り、ちょうど部長と話はじめようとしたところで、ニシカワ先輩が帰ってきた。
「外は暑くてかなわんな~。って、3人集まって何の話ですの?」

「区役所に行って、空き家問題について教えてもらったので、その報告です」

「へー、空き家問題かいな。それならおもろい話があるで! 地元の知り合いが空き家管理サービスの会社はじめたんや。月に1回、空き家の換気や雑草の除去なんかをして建物の老朽化を防ぐと同時に、隣近所に迷惑がかからんように管理するサービスや。相続やなんやで所有者が遠くに住んでいる場合も多くて、けっこうな需要があってソコソコ儲かってるらしいわ」
相変わらず先輩の知り合いは、新しいビジネスに敏感だ。

「ところがやな、その話を聞いた連れが、さらにその上を行くアイデアを出したんやw まず、買い手や借り手がつかず、管理サービスを利用しているような空き家を持ち主から借りるやろ。ほいで、所有者の許可もらって自分で簡単な清掃とリフォームをして、周辺の相場より安く貸すっちゅービジネスなんや。いわゆる転貸やけど、所有者はリフォーム代がかからず賃料も入る、そいつも最初に清掃やリフォーム、入居者を探す手間はかかるものの、借り手が決まれば安定して賃料が入るのでウィン・ウィンっちゅーことや。もちろん、借りる側も安く借りられるので全員がハッピーやな」

「すごい発想と行動力ですね。でも、もともと借り手がつかないような物件に入居希望者が見つかるんでしょうか?」
とタカヤマさんの鋭い指摘が。さすがタカヤマさん!

「そこは立地とか周辺環境、物件の良し悪しを見抜くセンスが必要となるだろう。誰でもできる投資というわけにはいかないな」

「部長のいうとおりやで。連れと同じようなことを思いつくのは他にもいて、先見の明がある不動産投資家は密かに空き家ビジネスを始めてるっちゅー話や。転貸だけでなく、格安で買い取ってDIYでリフォームして賃貸物件にする投資家もおるらしいで」

「自分で新しい投資対象を見つけるってスゴイですね!」
タカヤマさんは感心しきりだ。なんだかちょっとジェラシーを感じてしまう。

空き家への投資は、社会問題を解決できるという意義もあって興味深いが、とても自分には無理そうだ。しかし、着眼点やアイデアによっては思いもよらぬものが投資対象になるというのは参考になる。こういうことを先んじてできる人がきっと成功する人なんだろうなぁ……いつか自分もそっち側の人間になってみせるぞ! 待っててね、タカヤマさん!(あれ?  けっこう本気なの?)

次回へ続く。

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※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
 実在の取材などでご協力いただいた皆様については、許諾いただいた場合に限り、実名でご登場いただきます。
 フィクションとしてお楽しみいただきつつ、皆様の資産形成にお役立てください。

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