
第66 話"ロボアドバイザー"で投資初心者でもプロのような資産運用ができる!?
(写真=Semisatch/Shutterstock.com)
前回:日本でも広まりつつある自転車シェアリングのことを知り、シェアリングエコノミーには大きなビジネスチャンスがあることを再確認した。
65話はこちら→
投資の世界にも人工知能が進出!
ソーシャルレンディングでの資産運用を終えてからすでに数ヶ月。そろそろ新しい投資にチャレンジしたいが、いったいどんなものを選べばいいのか……? 相変わらず忙しそうなニシカワ先輩だけど、ここは思い切って相談してみよう。
「ニシカワ先輩、ちょっと相談があるんですが……」
「金ならないで? あと、彼女が欲しいっていう話はお門違いやでぇw」
「どっちも違います!どっちも欲しいですけど!そうではなくてですね、考えるより行動で新しい投資に挑戦しようと思っているのですが、いったい何に投資すればいいのかわからなくて」
「自分、知識ばっかりため込んで頭でっかちになっとるのがあかんのや。決められないんやったら、いっそ流行りのロボアドバイザーはどや?」
「ロボアドバイザー???」
ロボってなんだ? からかわれているのだろうか……。
「ロボっちゅーのはAIやAI、人工知能のことや。人工知能が投資判断をしてくれるんやで。」
「へぇ~、投資分野まで人工知能が進出しているんですね!」
自分も驚いたが、タカヤマさんも驚いている様子。
「せや。ちょうどロボアドバイザーやっとる会社の知り合いおるからタカヤマさんとふたりで調査してきてくれや」
「はい。いってきます!」
タカヤマさんは順応がはやい・・・
ということですぐにロボアドバイザーを運営している会社にやってきた。
「はじめまして。ニシカワ先輩からお話があったかと思いますが、今日はロボアドバイザーについて調査に参りました!人工知能が投資に関わるなんて信じられないですが、そのあたりも含めて詳しく教えてください!」
「はじめまして。タオと申します。ふたりとも今日はよろしくね。まずロボアドバイザーがどんなものか簡単に説明すると、一般的に知識と経験のあるファンドマネージャーのような人間が投資判断のアドバイスをしたり、資産を運用してることは皆知っていると思うけど、それらすべてを人工知能がやるサービスがロボアドバイザーなんだ」
「そしてロボアドバイザーには2種類あって、ひとつは資産や年齢、投資方針などの質問に答えると、人工知能が判定して最適な投資アドバイスをしてくれるもの。もうひとつは資産を預けて実際の投資運用も人工知能が行なうものがあるよ」
「でも、人工知能を利用するとなると利用料や手数料が高そうですね?」
タカヤマさんの着眼点はなかなか鋭い。
「それがそうでもないんだ。アドバイスしてくれるタイプは、無料で利用できるものもあるよ。このタイプのサービスは投資未経験者が投資の世界に足を踏み入れるきっかけになればいいという考えで無料で提供しているんだ」
「えー、無料なんですか!」
「運用まで任せるタイプのロボアドバイザーを利用する場合は手数料がかかることが多いよ。それでもファンドマネージャーが運用するアクティブファンドの信託報酬と比較すれば低いものがほとんどだよ」
ロボアドバイザーは機能と手数料がポイント!
(写真=Phonlamai Photo/Shutterstock.com)
投資の世界に、人工知能が進出しているとは驚きだ!
でも、いくら人工知能といっても投資の世界はいろいろな要因が絡み合って複雑だし、果たして信用できるんだろうか?
「知識と経験、実績があるファンドマネージャーは投資家から信用されてお金が集まると思うのですが、自動で投資する人工知能の能力って果たしてどこまで信用できるのでしょうか?」
「人工知能は膨大な情報を収集して判断する能力に長けていることは自信を持って言えるよ。しかし投資の世界は不確定要素も多いし、過去のデータだけでは読めない部分もある。それに人間心理も影響するから、いくら人工知能でも完璧とはいえない。だからこそ、もしロボアドバイザーに運用を任せようと思ってくれるのなら、そのロボアドバイザーのこれまでの運用実績はもちろん、機能面のチェックが重要だと思う」
「機能面って、どんなことでしょうか?」
投資初心者のカタヤマさんは、この話に相当興味があるようだ。
「たとえば、状況に応じて投資対象と資産の配分をリバランスする機能があるかどうかは、資産運用を任せられるかどうかの判断に直結する部分だね。最初に決めた資産配分をそのまま放置するのであれば人工知能の意味がないと僕は思う」
「そうですね!」
「ほかにも自動積立機能や税金の軽減機能など、様々な機能があるけど、それは実際にウチのロボアドバイザーを使っていくなかで学んでいくほうが分かりやすいと思うよ。だから使ってみて笑」
「なるほど笑 投資を始めたい初心者や忙しくて銘柄の選定などができない人には魅力的なサービスだと思うんですが、デメリットはないんでしょうか?」
メリットがあれば、同時にデメリットもあるはず! しっかり質問しておこう。
「もちろんデメリットもあるよ。ひとつは信託報酬の低いインデックス型の投資信託よりも手数料は高いこと。つまり、コストがかかるということだね。それからロボアドバイザーは、世界中の国債や株式に分散投資するのが基本だから、いきなり大きな利益がでる可能性が低いよ」
「あとは元本割れリスク、為替変動リスク、倒産リスクなど、他の投資にもあるリスクがなくなることはないよ。個人的な意見だけど、ウチも含めロボアドバイザーの手数料の相場感として年1%程度というところがあるけれど、これは提供されるサービス内容と比較すれば良心的だと思う。とくに投資初心者にとってはたった1%の手数料で投資のプロのような運用をしてもらえるのはかなり魅力的ではないかな?」
「そうですね! 1%なら喜んで払います!!やってみます!」
タカヤマさんはすっかり乗り気のようだ。
「ロボアドバイザー、本当にすごい。人工知能もどんどん進化していけばさらに信用できる投資になっていきそうですね。そのうち人工知能で僕の彼女を探してくれないかなww」
「わからないけど、君を支えてくれる人がみつかるといいね。」
今後、ロボアドバイザーは資産運用のひとつの選択肢として存在感を増していきそうだ。人工知能も進化していくだろうし、ここはひとつ僕もロボアドバイザーによる積立投資を始めてみてもいいかもしれないぞ!
それにしても最後は余計なことを言って少しあきれられてしまったけど、”自分を支えてくれる女性”か…。考えたこともなかったけど周りにいたかな?
・・・
はっ!もしかしてタカヤマさん?
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
実在の取材などでご協力いただいた皆様については、
フィクションとしてお楽しみいただきつつ、