
第59話 個人投資家でも太陽光発電に投資できる?
(写真=Kajano/Shutterstock.com)
前回:話題の株主優待について学び、株式投資の銘柄選びの際、ひとつの切り口になると思った。
投資をはじめました第58話はこちら→
太陽光発電投資についてタカヤマさんに教える!
今日は朝からオオタ部長とニシカワ先輩が出張で、事務所には自分とタカヤマさんしかいない。部長たちがいないと質問されたとき、きちんと答えられるか非常に不安だ…。
そうだ! できるだけ質問されないように仕事に集中しよう(コラ)
ということでパソコン画面に集中するが、タカヤマさんの方向から強い視線を感じる。パソコンの画面越しにちらっと様子を伺うと、タカヤマさんと目が合ってしまった!
「先輩、すみません」と、すかさずタカヤマさんが切り出してきた。
「はい、なんでしょう?」声が上ずっているのが自分でもわかる。
「EV(電気自動車)で環境関連の投資に興味を持って、いろいろ勉強しているのですが、たとえば個人で太陽光発電に投資したいという場合、どれくらいの資金が必要なんでしょうか?」
よかった。これなら、答えられる! なぜなら、太陽光発電のことは以前調べたことがあるからだ。
「太陽光発電投資は、一般的にはある程度の広さの土地を買って、そこに太陽光パネルなどの発電施設を建設することになるから2,500~3,500万円程度の資金が必要になるよ。利回りはだいたい10%弱と比較的大きいので魅力的だけどね」
「富裕層でなければ難しい金額ですね。投資として魅力があるのに、資金がないからできないって残念ですね」
「太陽光発電なら、小口化した商品があるじゃない?」
え!? こ、この声は……久しぶりのマイコ先輩だ!!
太陽光発電への投資も小口化あり!
「マイコ先輩! 部長みたいに驚かさないでくださいよ」
「アハハ、ごめんごめん。2人で真面目に話してるから邪魔しちゃ悪いと思って、郵便置いて帰ろうとしてたんだけど、ついね(笑)」と、笑いながらちょっと舌を出す先輩が素敵すぎる。
「小口化というのは、どういうものでしょうか?」
「小口化というのは、【太陽光発電ファンド】といって、太陽光発電設備を複数の投資家で共同所有する投資商品なんだ。少額から始められて、建設場所の調査や機器の選定、建設後のメンテナンスなんかもすべて業者が行ってくれるから、自分たちのようなサラリーマンでも太陽光発電に投資することができるよ」
太陽光発電投資の小口化についても勉強済みだったが、すっかり忘れていたww
「少額っていうのは、具体的にはどれくらいなんでしょうか?」タカヤマさんの質問ラッシュが続く。
「だいたい1口10万円からというものが多いね。利回りは5~6%あるから、なかなか高いんじゃないかな」
「10万円ならがんばればなんとかなる金額ですね」
「そうだね。だからけっこう人気があって完売しているものも多いんだ」
「ちょっと説明不足ね。太陽光発電ファンドにも様々なものがあって、少なくとも上場しているものと未上場のものがあるはずよ。おっといけない、会議の時間だわ。それじゃあ、またねー」とマイコ先輩は去っていった。そ、そうなの?
上場ファンドと未上場ファンドの違いとは?タカヤマさんに調査してもらった!
(写真=Songquan Deng/Shutterstock.com)
まったく知らなかったので、慌てて調べてみると、上場しているインフラファンドは現在4つあり、未上場のものは無数に存在する。
「マイコ先輩のいっていた上場と未上場のファンドの違いはなんでしょう?」
き、厳しい質問だ・・・
もうこれ以上は知識がなくて答えることができないぞ。
・・・そうだ!新人教育という名目で、
ここは逆にタカヤマさんに調べて報告してもらおう!(我ながら悪だくみはよく思いつくなあ)
「そうだね、、、この点については僕から説明してしまうのは簡単なことだ。しかしインフラ投資については難解な部分が多い。タカヤマさんに本当に理解してもらうために、今日はタカヤマさんが調べて僕に説明してみないかい?」(今日は部長や先輩がいないから態度も大きくなってきた気がする)
「なるほど・・・確かにいつも先輩に聞くことが多かったですね。わかりました!今日は私に任せてください!」
うまくいったみたいだwww
「えーっと、上場しているものは【インフラファンド】という名前になっていますが、現状では太陽光発電への投資がメインになっているみたいですね。市場で自由に売買できて、複数の太陽光発電設備に分散投資しているからリスクの分散ができるというメリットがあります。反面、価格が変動するので購入時より価格が下る可能性があること、分配金が年2回という注意点が挙げられています」タカヤマさん調べるの早いな。
「じゃあ未上場のものは自由に売買できないと考えていい?」
「基本的に自由な売買はできないと考えていいみたいです。そのかわり価格変動がないから、いきなり元本割れみたいなことは起こらないのがメリットです。ただし、利回りが上場ファンドよりも低めで、運営会社の信用の問題、複雑な契約、権利関係を理解しなければならないという注意点があります。投資初心者向きではなさそうですね。少なくとも私にはまだまだ難しいと思います」
「僕たちができるとしたら上場しているインフラファンドだろうね。ここについてはもっと詳しく調べて今度また報告してほしいな!」
「はい!わかりました!ありがとうございます!」
なんとか先輩らしいやり方で、うまく話を終えられた。
自分もタカヤマさんも少しずつではあるが知識が身についてきた気がする。
それならタカヤマさんとこれまで調べてきた様々な投資商品から自ら選んで投資して、運用成績で競い合ってみたら面白そうじゃないか?
今度提案してみようかな。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
実在の取材などでご協力いただいた皆様については、
フィクションとしてお楽しみいただきつつ、