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第46話 キャッシュフローで会社の体力を見極める!

 (写真=Perfect Gui/Shutterstock)

前回:『会社四季報』の貸借対照表の数値から、会社の財務状況を読み取ることを学んだ。
投資はじめました第45話はこちら→

目次[非表示]

  1. 1.実際のお金の動きを表すキャッシュフロー
  2. 2.各項目の数値がプラスかマイナスかをチェック!

実際のお金の動きを表すキャッシュフロー

『会社四季報』を読み込みはじめて早くも1カ月。オオタ部長とニシカワ先輩、そしてマイコ先輩にも教えてもらって、本当にいろいろなことがわかるようになった。ほぼすべての項目を理解できるようになったが、「キャッシュフロー」のことをまだ学んでいない。今日はこのことを教えてもらおうと思い、部長に質問する。

「オオタ部長、四季報のキャッシュフローについて教えていただきたいんですが、お時間よろしいでしょうか?」

「キャッシュフローは、まだ教えていないポイントだから、聞いてくると思っていたぞ。いいか、キャッシュフローというのは“お金の流れ”という意味で、会社のお金がどう動いているかを知ることができるんだ」と、心なしか嬉しそうなオオタ部長。

「それって損益計算書と同じじゃないんですか?」

「いい質問だ。損益計算書は、契約などが決まって売掛金や買掛金が発生したときに計上されるのに対して、キャッシュフローは、実際にお金が動いたときに計上されるんだ」

正直よくわからない、なにが違うんだろう……と思っていると、いつもの逆パターンでニシカワ先輩が会話に入ってきた。
「つまりやなー、100万円分の商品を売る契約を結んで入金が2カ月後やとするやろ? 損益計算書では契約成立時に売上高として100万円を計上するが、キャッシュフローでは実際に入金された2カ月後に計上されるんや」

「それにどんな意味があるんでしょうか?」

「ニシカワ君の例に仕入れも付け加えて考えてみるとわかりやすい。100万円で売った商品の仕入れ値は80万円で、その支払いは1カ月後だとしよう。損益計算書では、80万円の売上原価に100万円の売上高になるので利益は20万円となる。ところが、キャッシュフローでは、1カ月後に80万円の支払い、2カ月後に100万円の入金となるわけだ。つまり、1ヵ月後の時点では、損益計算書上の利益はプラス20万円であると同時に、キャッシュフロー計算書上の収支はマイナス80万円になるんだ」

なるほど、売り掛けと買い掛けが当たり前のビジネスでは、最終的に利益が出る取引でも、支払いが先になるため、取引を始める前に資金の状況に気を配る必要があるケースがあるわけだ。

各項目の数値がプラスかマイナスかをチェック!

(写真=dizain/Shutterstock)

「理解できたみたいやから、四季報のキャッシュフローの各項目について説明するで。

まずは”営業CF”やけど、CFっちゅーのはキャッシュフローの略称や。これは商品の販売やサービスによって得たお金と、商品やサービスを生み出すために使ったお金の差額のことやな」
前回、出番が少なかったせいか先輩はやたら饒舌だ。

「ということは、プラスじゃないとマズイということですね?」

「そやそや。マイナスだと事業自体の稼ぐ力が無いってことや。ほいでやな、
”投資CF”っちゅーんは、設備投資や土地株式などへの投資に関連する資金の収支や。これは、プラスとマイナスとどっちがええと思う?」

「えーと……プラスだと思います」
お金の出入りにかかわるところだから、プラスの方がいいのは当然だろう。

「いや、マイナスの方が良いと判断する人は多いと思うぞ。基本的に企業は成長するために設備投資などを積極的に行う必要がある。
つまり、マイナスの方が、その企業は成長軌道に乗れているということがいえるかもしれないなぁ」

「”営業CF” と ”投資CF”の合計が大事やな。これをフリーキャッシュフローっちゅーんやけど、本業だけで資金を稼げている方が健全っちゅーことやで」

「”財務CF”は私が説明しよう。これは銀行からの借り入れや返済、株主からの増資に関するお金のことだ。取引の相手方は銀行などの金融機関や投資家であることが多い。ここがプラスの場合は、金融機関や投資家から調達したお金が、かれらに支払ったお金を上回ったということ。マイナスの場合はその逆だ」

「これは、わかります。借金は少ない方がいいのですから、マイナスの方が健全な経営ですよね?」

「そうだ。ただし、営業、投資、財務の各CFのプラス・マイナスの組み合わせも、よく考えなければならない。たとえば、”営業CF”がプラス、”投資CF”がマイナス、”財務CF”がプラスの場合、事業の稼ぐ力は安定していて借り入れをして設備投資に回す強気な経営であることがわかるし、”営業CF”がマイナス、”投資CF”と”財務CF”がプラスだと、本業がうまくいかず、土地などを売却したうえで借り入れて資金を補っている状態だとわかるんだ」

「なるほど、各CFの組み合わせで、なんとなくの会社の状態が見えてくるわけですね。残りのパターンは自分で考えてみますが、その前にCFの下にある ”現金同等物” というのはなんでしょう?」

「これは読んで字のごとしで、現金や現金と同等の価値があるものの合計額や。同等の価値っちゅーのは、価値が大きく変わらず3カ月以内に現金化できるもんのことやで。」

「オオタ部長、ニシカワ先輩、どうもありがとうございました。キャッシュフローのこと、よくわかりました。あとはがんばって自分で勉強します!」

「なんや最近、前向きっちゅーか、ずいぶんやる気に満ち溢れとるなぁ。まあ、がんばりや」

滅多に人を褒めないニシカワ先輩に褒められたが、『会社四季報』の勉強は、企業をさまざまな側面から分析できるようになって本当に楽しかった。あとは十分な資金さえ用意できれば、自分で絞り込んだ銘柄に投資してみたい。それで利益が出たら、部長や先輩、そしてマイコ先輩にも投資家のはしくれとして認めてもらえるだろう(結局、マイコ先輩に認めてもらいたいだけでは……)。

次回へ続く。

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※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
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