
第36話 ビットコインで億万長者!?
(写真= allstars/Shutterstock)
前回:ふるさと納税がなぜお得で人気なのか? その仕組みと手続きについてしっかりと学んだ。投資はじめました第35話はこちら
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ビットコインってなんだ?
最近、ニュースやWebでたびたび聞くようになった“ビットコイン”という言葉。しかも、「1年で価値が20倍」「1週間で2倍」など、驚く話も飛び交っている。1年で20倍なら、10万円買っておけば200万円になったってことか……。なんでオオタ部長もニシカワ先輩も教えてくれなかったんだろう……?
はっ! まさか自分たちだけ内緒でビットコインを買っていたとか!!(たぶん違う)
「ニシカワ先輩、ビットコインって知ってますよね?」
「ああ、知ってるでー」
あっさり白状する。やっぱり自分たちだけで買っていたのか……。
「なんで教えてくれなかったんですか!?」
「いやいや、落ち着けw 俺が隠してるとでも思ってたんか?w」
「そうですよ! だって1年で20倍にもなったんですよ!! 異動してきたときに教えてくれれば、今頃10万円が200万円になってたじゃないですか!」
「あんなぁ……、ビットコインは投資というよりは“投機”と言われることもあるんや」
「ビットコインは“仮想通貨”といって、インターネット上にデータとして存在する通貨なんだ。実物の紙幣や硬貨が存在しないから、ビットコインは仮想のお金というわけだ」満を持して、オオタ部長が会話に入ってくる。
「そうなんですか。でもそれって電子マネーじゃないんですか?」
「電子マネーは、日本であれば円をチャージして使うからあくまでも円の取引だ。だから、電子マネーの100円が101円以上の価値になることも、99円以下の価値になることもない。ところが、仮想通貨の場合は円を仮想通貨に両替することになる。たとえば決済でビットコインを使いたい場合、最初に円をビットコインに両替しなければならない。両替するということは必ずレートがあるわけで、それが今年のはじめは1ビットコイン=約10万円だったのが、12月には1ビットコイン=約230万円になって騒がれ始めたわけだ」
「なるほど、仮想通貨には為替レートみたいなものがあるってことですね」
「そやそや。仮想通貨はビットコイン以外もいろいろあって、取引所で売買できるんや。為替みたいにチャートもあるし、秒単位でレートが変動してるんやで」
ビットコイン高騰の理由とは?
「あのー、でも通貨ってことは保証というか信用みたいなものがあるわけですよね? 円なら日本銀行がきちんと管理していて、日本政府の信用があるから価値があるわけで、ビットコインってそもそも誰が管理して使える保証とか信用はどこからきてるんですか?」と素朴な疑問をぶつけてみる。
「なかなか鋭い質問だな。ビットコインは発行を管理する国も企業も存在しない観点から、信用はないという意見もあるだろうな。しかし、ビットコインは大きくふたつの仕組みが存在するんだ。まず、ビットコインの発行量には厳密なルールがあって発行上限も決まっている。つまり、無制限に増え続けることもないし、突然大量に出回ることもない。また、ビットコインは、誕生から現在までの取引をすべて記録した巨大な台帳を世界中のコンピュータが分散管理しているんだ。ビットコインにおいて、このふたつの仕組みがあるがゆえに購入する投資家が多いとも言えるんだろうな」
部長のわかりやすい説明には、毎回驚く。自分もいつかこんな上司になりたい。
「台帳は巨大で膨大な計算が必要やから、その計算を手伝ってくれたコンピュータに報酬として新しいビットコインが与えられるんや。これを“採掘(マイニング)”いうんやでー」と先輩も負けじと情報を教えてくれる。
もしかして、ボクって先輩と上司にすごく恵まれてる?
「ビットコインはこういった仕組みな上に、専門家の意見も割れているんだ。
“まだまだ価格が上がる”
“いずれ1000万に届くだろう”
といった意見もあれば、“完全なバブルで価値はいずれ下がるだろう”という人もいる。また、投資か投機かギャンブルかも意見がわかれるところだ」
「それとやな、仮想通貨っちゅーわりには、実際に使えるところが今はあんまないんや。これをクリアせんと、通貨としては認められにくいっちゅー意見もあるやろな。そういうても、ビットコインは国に関係なく使えて送金コストがほとんどかからないことや、個人間での送金もかんたんにできるっちゅーメリットもある。そこに価値を見出してこれから伸びると考え、欲しがる人が増えたから、レートが高騰しはじめたともいえるわな」
なるほど、ビットコインには賛否両論があって、将来性も不透明だから投資対象としては教えてくれなかったということか。それにしても、20倍か……10万円が200万円、100万円だったら2,000万円になったのかと思うと悔しい。欲しかったあのクルマもかんたんに買えたのに……。
「自分、取らぬ狸のなんとやらで、1年前にビットコイン買ってたら今頃はクルマ買って……とか考えてるんやろ?」突然、先輩の鋭いツッコミが。
「そ、そんなことは、あ、ありませんよ?」
「図星やんかw そういうのはな、脳内でしか使えないお金やから空想通貨っちゅーうんやでw」(誰がうまいことをいえと……)
先輩に完全に一本取られた……。
確かに空想というか妄想していても仕方ないので、もう少しビットコインや仮想通貨のことを自分で勉強してみよう。もしかすると、これから20倍になる仮想通貨が他にもあるかもしれないぞ!(こらこら)
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
実在の取材などでご協力いただいた皆様については、
フィクションとしてお楽しみいただきつつ、