
第35話 ふるさと納税で還付・控除を受けるには?
(写真= GypsyGraphy/Shutterstock)
前回:わずか2,000円の負担で地方の特産品などがもらえるお得な制度「ふるさと納税」のことを偶然知った。投資はじめました第34話はこちら
ふるさと納税は通販ではない
失恋から3週間。ようやく心も落ち着いてきた。とはいえ、夜、ひとりでネットやテレビを見ていると、ふとした瞬間に寂しさがこみ上げてくることもある。そんな理由もあって、今週はずっと「ふるさと納税」のポータルサイトで返礼品探しに夢中になっていた。通販のカタログを見ているようでホント楽しい。
昼休み、ニシカワ先輩にふるさと納税の話をふってみる。
「先輩、ふるさと納税を本気で考えて、いろいろ見てるんですが、本当にいろいろな返礼品があって迷ってしまいますね!」
「まあ全国の市区町村は1,700以上あるんやから、そりゃ品揃えも豊富になるやろなぁ。それはそうと、なんや、ずいぶん明るくなったやんか。ええ傾向やん」
なんだかんだ言いながらも、自分のことを気にしてくれていた先輩。さすが大阪出身、人情に厚い。
「あれもこれもと選ぶと、すぐにけっこうな金額になりますよね?」
「ちょい待てや。自分の年収やと3万6千なんぼが控除される限度やったって学んだやろ?」と怪訝な顔の先輩。
「あ、そうでした!」
目の前のお礼の品に目を奪われて、すっかり限度額のことを忘れていた。(ふるさと納税は、限度額を超えても行えるけど、超えてしまうと住民税の控除対象外となる。覚えておくよう先日、オオタ部長から教わった!)彼女との別れも、些細なことでイライラしてしまう自分の短気が原因だったのに…。ホント、我ながらあきれてしまう…。
確定申告不要の“ワンストップ特例制度”
(写真=tkyszk/Shutterstock)
改めて、『年収350万円』 『配偶者』 『扶養家族』無し、で一度シミュレーションしてみて、“36,329円”の控除額は変わらず(当たり前)。逆にあれもこれもと選べないので、本当に欲しいものに絞り込めそうだと前向きに考える。
「どや? 少しは上限上がったか? 年収が上がるか、結婚するかで、控除額の上限があがるで」と、結局先輩にイジられる。
「はい、ありがとうございました」と、あいまいなお礼で返事。
「なんや、妙な返しで逆に怖いわw ところで、税金の還付や控除の仕組みや手続方法はわかっとるんやろな?」
「仕組みはさっき確認しました。自治体に寄付をすると、それを証明する『受領書(寄附金受領証明書)』が送付されてきて、その書類を添付して“確定申告”すると所得税の還付や個人住民税の控除が受けられるんですよね?」これは自信がある! 先輩と部長には内緒だが、さっき知った情報だからだ!
「60点というところだな。サラリーマンは“ワンストップ特例制度”を使ったほうがいいんだ。ふるさと納税で寄付をするとき、『ワンストップ特例申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)』 と 『本人確認書類』を寄付先の自治体に送ると、自治体が住民税の控除の手続きをしてくれるんだ。
ただし、この制度を利用するためには寄付先は“5つまで”等の制限がある。また、なんらかの理由で確定申告が必要な場合になれば、この制度は使えない」とオオタ部長の指摘が。
「ワンストップ特例制度を使うと、翌年6月以降分から住民税が減額されるんやで。所得税の還付で現金が戻ってくるのは、確定申告した場合だけや。よく覚えとき」
またツメが甘かったようだ……。
正直、確定申告なんてしたことがないので不安だったが、この特例のことを知って安心した。自分の上限額だと返礼品も限られるが、それでもしないよりは断然お得なので、自分のふるさとを含めてもう一度寄付先を検討してみようと思う。
ふるさと納税の締め切りは、12月31日まで! まだの方はお早めに!!(誰やねん)
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
実在の取材などでご協力いただいた皆様については、
フィクションとしてお楽しみいただきつつ、