
第28話 新電力に乗り換えて家計を節約
(写真=WITSALUN/Shutterstock)
前回:買い物のお釣りで投資する新しい投資のことを学び、少額でもコツコツ積み立てていくことに興味がでてきた。投資はじめました第27話はこちら。
ボク、節約をはじめます
毎月コツコツ積み立てることのメリット・デメリットを検討した結果、積立投資と預金をバランス良く組み合わせることに決めた。問題は積み立てる金額だ。毎月の家計は火の車とまではいかないものの、決して余裕があるわけではない。
といっても、せっかく始める積立投資だし、それなりの金額を積み立てたい。かといって預金額を減らせばリスクが増えるし、いつまで経っても一括投資の原資が貯まらない……。
ということは節約だ……。といっても、いったい何を節約していったらいいんだ?
食費??娯楽費??光熱費??
これまでの人生で節約のことなんてあまり考えなかった。
そうだ!こうなったら、マイコ先輩に聞いてみよう!話すきっかけにもなるし、一石二鳥だ!
そこへ絶妙なタイミングでマイコ先輩がやってきた。
「おはようございます、先輩。ちょっと教えて欲しいことがあります」と思い切って声をかける。
「今日は何かな?」と笑顔で応えてくれるマイコ先輩。
「積立投資や預金をするために節約をしようと思うんですが、いったい何から始めて、どうしたらいいのかがわからないので教えてほしいんです」
「へー、ちゃんと考えてるのね。節約のために見直すポイントはいろいろあるんだけど、そうだなぁ……まずはカンタンにできる“新電力”とかどう?」
「“新電力”?もしかして太陽光や風力と関係あるんですか???」新電力って聞いたことはあるけどなんだっけ? 新しい発電方法が節約になるのかな?
そこにマイコ先輩がいるとカッコつけたがるニシカワ先輩が割り込んでくる。
「なんや自分、“新電力”も知らんのかいなw 2016年4月から電力の小売りが完全自由化されて、一般家庭に電力を売る電力会社が、ぎょーさんできたんや。そういう新しい電力会社のことを“新電力”っちゅーんやで」
「カンタンにいうと、家の電力会社を替えて料金を節約しようってこと! 詳しいことは自分で調べてね~」と笑顔で去っていくマイコ先輩。やっぱり素敵だなぁ……。
新電力への契約変更は驚くほどカンタン!
(写真=aijiro/Shutterstock)
さっそく自分で調べてみる。電力販売を行っている会社は約400事業者もいるとのことだった(2017年10月12日現在)。また各社、さまざまな料金プランや電気料金割引等でしのぎを削っているようだ。
さらに検索を進めると、各電力会社の比較サイトや電気料金のシミュレーションサイトもいくつか見つかった。条件を入れて比較してみると今の自分が支払っている電気料金より安くなるケースが見受けられた。ボクの場合、年間1万円近く電気代を節約できる電力会社もあることがわかった。毎月800円程度の節約だが、積み立てや預金に回すお金が毎月800円も増えるなら幸せだ。
これは、やらない手はないぞ!
「どうだ?“新電力”のことはわかったか?」とオオタ部長が頃合いを見計らって聞いてきた。いつもながらの絶妙なタイミングに舌を巻く。
(部長がなぜか微笑んでいる…なにかあったのかなぁ)
「はい。こんなにも電気代が安くなるなんて、なんでこんなこと今まで知らなかったのだろう。でも、契約先を変更するのって面倒そうですよね……工事もあるだろうし」
「君がそのような疑問が出てくると思って、今日“彼”を呼んでいたんだ。彼は“新電力”についてのスペシャリストだぞ。色々質問してみてはどうだ」
「はじめまして!新日本パワーサプライ㈱の足立です!オオタ部長とは長いお付き合いをしています。“新電力”についてはわからないことがあれば、どうぞ何でもご質問ください!」とのご挨拶。
「うわぁ!!びっくりしたぁ!!!」
後ろを振り返ると、スーツをぴっしりと着こなされた男性が立っていた。
急な出来事で、思わずタメ口になってしまった(すいません)
「いきなりですが、今の部長への質問、ちゃんと聞いていましたよ。電力会社の契約先を変更することは実はとても簡単です。“新電力”への契約変更は、基本的に切り替え先の電力会社にネットで申し込むだけで済みますし、工事もない場合がほとんどです。もし、工事が必要な場合でも立ち会う必要はないので手間はほとんどかかりませんよ」と足立さん。
「たとえば、ある電力会社(※低圧電力)の場合、自分で電気料金の試算をして、インターネット上で申込みをするだけで切り替えの手続きが完了になるケースもあります。まず、電気代の試算をするために現在の電気料金の明細を準備して、電気料金の試算を平均値でもよろしければ、1カ月分の明細を写真にとって送るだけでこちらで試算致します。そして、試算した料金にご納得頂ければインターネット上で申込みに移る、といった流れになります」本当に“新電力”に詳しい御方だ。
※低圧電力…契約会社から供給される電力が50kW未満の電力。
「へぇ~、そんなに簡単なんですね。でも、今使っている電力会社って簡単に解約とかできるものなんですか?解約手続きとか色々大変そうに感じます…」
「その心配はそれ程必要ございません。新電力会社へ申し込みをすると、新電力会社が地域電力会社 (東京電力、関西電力など)との間の手続きを致しますから、利用者の方々は今ご使用されている電力会社への解約の手続きは必要ございません。したがって一度、『今の電気料金に困っているわけでもないし、だったら今のままで良いか』って思われている方ほど今の電気料金を試算してみて、“新電力”へ切り替えすることをオススメ致します」
「確かに、今の電気料金に困っているわけではなかったですし、“新電力”ってニュース等で聞いたことありましたけど、切り替えるっていう行動には移してこなかったのも確かだ…」
停電は増えない?“新電力”
しかし、ここで一つ気になる疑問が。
「足立さん、少し心配なことが….
“新電力”に切り替えると停電とか増えたりしないんですか?」
「いいえ、原則増えませんよ。たとえば、新電力会社(発電事業者)が、供給する予定の電気量の基準値を下回っていたとしても、地域の電力会社と新電力会社との間に、電気を融通という契約がある限りは新電力会社が供給できなかった不足分の電力を地域の電力会社が補ってくれます。だから新電力に切り替えた自分の自宅だけが停電になったり、電力の供給が不安定になることは特段心配しなくて大丈夫です」との足立さんからのご説明。
「へぇ~停電の心配もいらないんだぁ~。
ちなみに“新電力”に切り替える時、こういった電力会社に切り替えたらいいポイントとかありますか?」
「はい、ございますよ。一度、電気代を試算して一番安くなる電力会社をお選び頂いたらよろしいかなと思います。各電力会社の試算が簡単に出せるウェブサイトがございますので、一度比較してみてはいかがでしょうか。あと他にも、ガスや携帯電話、プロバイダーとの契約で割引になるセット等も調べてみるのもいいですね。
たとえば、車をよく利用される方でありましたら、電気代とあわせてガソリン代も安くなる電力会社もございます。ほかにも、航空会社と提携している電力会社でありましたらマイルも貯まる電力会社もございますし、比較サイトとかで調べてみるのも一つの手段です」
と、丁寧にご説明をして頂いている傍から、隣のニシカワ先輩のデスクから、恐らく食べ残しであろうマロンの香りが微かにする。(世間はハロウィンですもんねぇ)
「へぇ~、そうなんですか。マイルも貯まって、いいことづくしですね。
足立さん、これだけメリットがあれば、デメリットもあるんじゃないですか?」
「はい、デメリットはですね、強いて申し上げますと、“新電力”に切り替える時の電力会社がどのような条件があるか把握している必要があること、ですかね。2-3年の長期の契約で電気料金が安くなるであったり、期間内の解約は解約料が発生するであったり。各電力会社、契約に色々条件がございますから、申し込みする前はしっかりと調べておかなければなりません」
「なるほど、確かにそうですよね…。
“解約”と言ったら、引越しの時とかどうなっちゃうんですか? やはり解約料とか発生しちゃうんですかね…」
「引越し先が契約会社の電力供給エリア外 (例.東京から北海道へ引越し)の場合、契約しているプラン内容や解約のタイミングによれば、解約料が発生してしまうこともございます。なので、“新電力”に切り替える時は、契約する電力会社のプランをしっかりと読んでからご自身に合った“新電力”を選択するべきだと思います。そういった“下準備”みたいなところをデメリットとお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんね」
「やはり投資と同じく、“新電力”にも知識が必要なんですねぇ。
なるほど、わかりました~、これで“新電力”についての知識が少し身についたと思います。
足立さん、本日はどうもありがとうございました!!」
「いえいえ、こちらこそ。ぜひ“新電力”への切り替えをご検討くださいね」
これまで投資で資金を増やすことばかり考えていたが、今回のように“新電力”に切り替えて支出を減らせることができたら必然的にお金が貯まることに気がついた。これからはいろいろと家計の節約についても調べてみようと思う。積立投資といい、何事も小さなことからコツコツやっていけばいいんだな。
ニシカワ先輩もお菓子減らせばもっと投資できるのにw
ニシカワ先輩「…….(○`ε´○)」
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
実在の取材などでご協力いただいた皆様については、
フィクションとしてお楽しみいただきつつ、