
第21話「フィットネスクラブ」へ投資
(写真=Val Thoermer/Shutterstock)
前回:原油価格について調べ、原油へ投資する方法もあることを知った。
投資はじめました第20話はこちら
人気を集める24時間営業のジム
彼女と海へ遊びに行った時、水着姿の自分を見て1年前に比べて締まりのない身体になっているように感じた。よくよく考えてみれば社会人になってからというもの、明らかに運動不足だ。
薄々気がついてはいたが、「サラリーマンは運動する時間なんてほとんどない」と半ば運動することから逃げてきた。だって、早朝や帰宅後にジョギングをする時間は少ないし、土日は家でゆっくりしたい。そういえば先輩はお菓子ばかり食べているのに全然太らない。何かやってるんだろうか?
「ニシカワ先輩はなにか運動してるんですか?」
「なんや、藪からスティックに」
……こ、これはギャグなんだろうか?(おじさんにはわかるギャグです)
「いえ、先輩けっこう食べてるのに太らないなーと思いまして」
「連れのやってるジムでたまに運動しとるで。やっぱり持つべきものは友だちや」(笑)
「えーーーーー! 先輩の友だちってジムオーナーの人までいるんですか???」
「自分なんか勘違いしとらんか。思うてるような本格的な総合スポーツジム やなくて、ランニングやウエイトなんかのマシンとシャワーを24時間いつでも使える小型のフィットネスジムやで。最近増えてるやろ? 知らんか?」
「あー、知ってます。近所にも1年くらい前にできました。でも、フィットネスジムを経営してるって、元プロスポーツ選手とかそういう方ですか?」
「いや、ただの一般人やw 資産運用の一環だから、投資っちゅーたら投資やな」
「ジムで資産運用ですか? けっこう初期投資必要ですよね?」
「そやな、本格的なスポーツジムやったら、土地に建物、各種マシンの導入と億単位の資金が必要やけど、ああいう小型のフィットネスジムなら賃貸の商業ビルでできるし、初期投資はだいぶ抑えられるっちゅー話や。もちろん、立地がいいとか、周辺人口が多いとか、ライバル店がないとか、フィットネスジムを経営するにあたって成功する条件はいろいろあるらしいで。数年前、ジムでのトレーニングが流行り始めたとき、真っ先に開業してうまく顧客を囲い込めたっちゅー話や、先見の明やな」
ターゲットは20代から30代
(写真=Syda Productions/ShutterStock)
先輩が話している最中にマイコ先輩がやってきた。やっぱり今日も素敵だ、と気付かれないように見とれていると……
「メリットは会員制ビジネスなので、顧客を多く集められればより大きい定期収入になるってことだな。例えば、ある有名人が運営しているスポーツジムでは年収3億円を叩き出しているそうだ。まあ、これは有名人の知名度があってこその数字だろう。ニシカワ君の言ってる24時間使えるジムは20代、30代の利用者が多いそうだ。出社前や会社帰りにちょっと運動できて、料金もそこまで高くないというのがヒットの理由だと考えられているな」と、またまた突然のオオタ部長。
いろんなことに詳しいのはさすがだ。
「そうそう、朝、会社に来る前に一汗かくの気持ちいいのよね。自分のペースで好きな時間にちょっと運動できるのがいいの。」とマイコ先輩。
「マイコくんみたいに朝、会社来る前に一汗かくのが気持ちいいと感じる人が多いようだ。このスタイルは世界的に成功していて、ひとつのビジネスモデルとしては完全に定着している。有名なジムでは、小型のフィットネスジムを24時間営業というスタイルで開業支援もしており、それも店舗数の拡大につながっているようだ。とはいえ、開業には数千万円の資金は必要だから、誰でもできるというわけではないな」
「連れも初期投資の回収がようやく今年で終わる言うてました。全額回収には4~5年はかかるっちゅー話ですわ。」
(なるほど、初期投資の回収には4~5年かかるのかぁ)
と、トレーニングをするマイコ先輩を想像して、ボーッと聞いていると…
「っておい、話ちゃんと聞いてるか?」という先輩の鋭いツッコミが。
「え、ええ、もちろん聞いてますよ。トレーニング姿っていいですよねぇ」
「そうそう、あれはええなー、って、おい!自分いったい何を考えてたんや!!」
「えっ!? いや純粋に体鍛えている人ってカッコいいなと思って」と慌てて取り繕ったが、マイコ先輩の目は冷たかった……(嫌われたかも)
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
実在の取材などでご協力いただいた皆様については、
フィクションとしてお楽しみいただきつつ、