
第19話 韓国ベンチャーへの投資
今年、2017年の秋に東京都が総額200億円規模の発行を予定している『東京グリーンボンド』。これは、地球温暖化をはじめとした環境問題の解決に資する事業に必要な資金を調達するために東京都が発行する債券とのこと。投資をしながら環境問題にも貢献できるのだ。(写真= CJ Nattanai/Shutterstock)
前回:グリーンボンド債のことを調べ、債券には“国債”以外にもいろいろあることを知った。投資はじめました第18話はこちら。
利回り約6~10% 韓国ベンチャーへの投資
毎日、日経新聞を読み、投資のことを調べてきたことで、経済についてより深く理解することが出来るようになった(と思うw)。
そこでわかったのは、外国でも魅力的な投資先があるかも知れないということだ。
でも、海外への投資……、ハードル高そうだし、初心者向きじゃないよな、と考えていると……。
「なんや。珍しく真剣な顔しとるやないか?」と、ニシカワ先輩が話しかけてきた。
「ニシカワ先輩にだけは言われたくありません」と心の中で思いながらも、なんだかんだで投資にはアンテナが高いので、海外への投資について聞いてみる。
「政策金利が高い外国への投資の方が、結果利回りが高く魅力的なんじゃないかと思いまして……」
「ほー、なかなかな質問やな。ええ発想や。同じ考えで『韓国ベンチャー』に投資しとる連れがおるわ。そいつが言うには、利回りが約6%から10%弱あって資金効率がいいらしいで」
「韓国でさらにベンチャー企業ですか? なんか想像もつかない投資先ですね」
「まあ、一般的ではないわなw」
「ほほぅ、韓国ベンチャーへの投資か。ニシカワ君、その〝連れ〝を連れてきてちょっと説明してほしいのだが」
と、相変わらずいきなりオオタ部長が会話に割り込んでくる。それも珍しくダジャレで・・・。
“円建て”でもできる海外への投資
(写真=Sean K/Shutterstock)
オオタ部長のダジャレもざっと流そうとしたところの来客が来た。
「こんにちは。タケノウチです。」
「え?あ、こ、こんにちは!!」
ニシカワ先輩が連れてきたのは、先輩にまったく似つかわしくない綺麗な女性だ。
「な、何かおかしくないですか?」
「なにがや(怒)」とニシカワ先輩の当たり前の反応。
「どんなご関係か知りたくなるじゃあないですか~w」
「そんな話はどうでもいいわ。タケノウチさん、説明お願いしまっせ」
「は~い。関西生まれ、関西育ちやけど標準語で行きますね」とタケノウチさん、やや急発進。
こ、これは・・・新キャラ登場か?
「説明しますね。実は、韓国ベンチャーへの投資いうても、実際に投資するのは日本の会社ていうことなんですの。日本の会社が組合を作って投資家から集めた資金を韓国の金融業者に貸し付けるって仕組み。韓国の金融業者は、ベンチャー企業や起業しようとする人に貸し付けて金利を受け取り、元本も返済してもらう。日本の会社は韓国の金融業者金利と元本の返済を受け、投資家に分配する仕組みってわけです」
…標準語のくだりに無反応でいいのか??
ちと切り替えて、
「あれ? それって[不動産の小口化商品]や[ソーシャルレンディング]と基本的には同じ仕組みですよね?」
「そうですね。投資先が日本の不動産や企業か韓国かって違いだけとも言えます」
「だったら、わざわざ韓国に投資しないでも日本でよくないですか? 韓国に投資するメリットってなんですか?」
「ええっ!私の大好きな韓流スターがいる国やのに、何でそういうこと言わはるの!!」
(いやそういう話じゃなくて)
「違うとこスイッチ入ったな」と困り顔の部長。
割って入ってくれた(部長ありがとうございます)
「投資する理由のひとつは、まだまだ韓国は経済成長が見込めることだろうな。資金需要が旺盛で、金利が高くてもお金を借りて事業を始めようって起業家が多い。だから、利回りも日本への投資よりも高めになっていることが多いと言えそうだ」
「ですが、韓国のウォンで投資となると、為替の変動リスクがあるんではないでしょうか?」
いくら利回りが高くても、為替が大きく動くかもしれない。
「またそういうことを言う!」(普通のことを話してますが・・)
と言い残しタケノウチさんは部屋を出て行ってしまった。
一同「……。」
「気をとりなおそう。株や投資信託だけじゃなく、さまざまな方法でさまざま投資先を自由に選べるので投資家にとってはいい時代になった反面、リスクの高い投資というのも増えているんだ。
また、お金の流れとして、日本の会社が作った組合→韓国の金融業者→ベンチャー企業や起業しようとする人へと流れるから、我々が元本返済・金利を常時受け取れる保証は少なくなるだろうなぁ。投資にはリスクがつきものだから、しっかりと投資先には調べる必要あるな。
だから、今まで以上に投資に対する知識が必要な時代になったということだ。」
「ま、あの~」ニシカワ先輩が会話に入ってきた。
「タケノウチさんは韓流好きが高じて、韓国も年に30回以上も行くし、韓国企業も分析するし、訪問もしているんや。あまりに好き過ぎてちょっと反応が過剰なのが玉に瑕なんやけど…。まぁ、それぐらいしっかりリサーチしていれば投資をしてもええと思うけどな。」
ニシカワ先輩の〝連れ〝ってある意味すごい人ばかりですね。
今回も勉強になった。韓国ベンチャーへの投資は、初心者の自分が手を出すのは時期尚早のようだ。しかし、海外へ投資する仕組みをひとつ覚えたのは大きい。
資金に余裕ができて、もっと諸外国の経済情勢を勉強したら、いずれ投資に挑戦してみよう! と言ってもまだまだ先になりそうだけど……。
(まだ5万円を投資しただけだよ)
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
実在の取材などでご協力いただいた皆様については、
フィクションとしてお楽しみいただきつつ、