
第18話 大注目の『東京グリーンボンド』ってなんだ?
土砂運搬船への投資話をきっかけに、投資にはいろいろな種類があることを知った。今は投資の猛勉強中だから、投資資金を作り、いつか学んだ知識を活かせるようになりたいものだ。 (写真= Monthira/Shutterstock)
前回:偶然をきっかけに「土砂運搬船」のことを調べ、まだまだ投資の世界の入り口しか見ていないことを知った。投資はじめました17話はこちら。
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※本記事は2017年3月22日に公開した内容に一部修正を加え、必要な情報を追記したうえで2019年1月8日に再公開しております。
国債以外にもある債券
「今ちょっといいか?」
珍しくオオタ部長がごく普通に話しかけてきた。
「投資の話なんだが、今回は『グリーンボンド』について調べてほしいんだ」
「わかりました。『グリーンボンド』ですね」
ん?? グリーンボンドってなんだろう?
調べてみると、『東京グリーンボンド』が検索でヒットし、『東京グリーンボンド』というのは東京都が発行予定の債券だった。
確か、国債は日本国の発行する債券だから国債だったので、東京都が発行する債券は都債ということか。地方自治体が発行する債券だから広い意味では地方債にあたるようだ。さらに、国や自治体のような公共団体だけでなく、会社が発行する社債というものがあることも知った。
ふむふむと思うのだが、何かしっくりこれが答えだと胎落ちしない。
結局、先輩に聞いてみる。
「先輩、『東京グリーンボンド』の特徴ってなんですか?」
「東京グリーンボンドやから、投資先は東京都やろ? 国債と並んで都債も人気があるんや。まあ、利回りは他の債権と比べたら少ないけど、元本毀損リスクが比較的少ない投資先ってとこが特徴やろな」
なるほど。
んー、でも東京都債じゃなくて、わざわざ『東京グリーンボンド』って名前を付けてる理由はなんだろう? 通常の都債と違うのだろうか?
環境政策に使う資金を調達する債券
(写真=kwest/Shutterstock)
グリーンボンドのことを調べながら、「なるほど、グリーンボンドって木をくっつける接着剤のことか」と、軽くボケてみる。
「そやそや、『グリーンボンドで簡単に接着!』ってな。 ……おい、そこツッコめよ」
さすが関西人、完璧なノリツッコミだ。
「教えたるわ。 グリーンボンドっちゅーのは、地方債や国債と違うくて、地球温暖化対策などの環境政策を実行するために必要となる資金を調達する債券や。『東京グリーンボンド』を発行するときに第三者機関のチェックがあって、集めた資金が目的どおりに使われたのかもチェックされるんやで」
「なるほど、先輩、もっと教えてください」
「東京都は去年の10月に、公園や中小河川の整備を目的にした『東京環境サポーター債』というのを100億円分発行したんや。それが即完売して、今度は今年の10月にグリーンボンドを出すってことで話題になってるんや。だから、部長もコレを調べろっていったわけや」
「なるほど。投資すると環境保護に使われるというのは社会貢献になりますし、良い投資商品ですね」
「そうやな。それが理由で世界の投資家の間ではグリーンボンド債への投資がかなり盛り上がってるちゅー話や。CO2の削減や環境保護の観点から、欧州では盛んに発行されているで。日本ではまだ数例しかなくて、世界の流れからはかなり遅れているんや。この東京グリーンボンドが起爆剤になればええんやがな」
「先輩……」
「なんや?ワシかてお菓子のことばかりじゃなく環境問題もきちんと考えてるんやで」
「いえ、なんかキャラに合わないですw」
「なんやとコラっ! いわしたろかいっ!」
(やっぱり関西人はイジってなんぼの世界だ)
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
実在の取材などでご協力いただいた皆様については、
フィクションとしてお楽しみいただきつつ、