
不動産特定共同事業法とは?不動産の小口投資にはどんな種類があるの?
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※本記事は2017年4月1日に公開した内容に一部修正を加え、必要な情報を追記したうえで2019年1月31日に再公開しております。
今、注目を集める不動産投資
マイナス金利が導入され、インフレに強いとされる不動産投資が注目を集めています。
不動産を所有するなら誰もが好立地の優良物件を選びたいもの。しかしながら、実物不動産投資には、首都圏のマンションで数千万円、郊外でも1,000万円ほどの初期投資が必要です。不動産投資には、資金調達や情報収集、リスクなど高いハードルがあるのも事実です。
そこで、不動産特定共同事業法という法律をもとに、不動産の小口投資商品が生み出されました。不動産の小口投資とは、実質的には不動産に対する投資でありながら、不動産投資における高いハードルを補うことができる方法なのです。
不動産の小口化が初期投資とリスクを抑える
不動産特定共同事業法に基づいた不動産小口投資商品とは、多くの人から資金を集め、その資金で不動産を購入し、そこから得られる賃料収入を出資者に分配する仕組みの商品です。投資家にとっては、実物不動産と比較し少額で不動産投資が始められる事がメリットとなります。また、初期投資とリスクを抑えることができるうえ、不動産特定共同事業者(許可を受けて不動産特定共同事業を行う者)が不動産の管理・運営を行うので、実物不動産に対する投資に比べると投資期間中の手間がかかりません。
商品によっては一口数万円から100万円の範囲で投資できるものもあり、表面利回り([諸経費等を考慮しない利回り])で年5~8%程度の商品が提供されています。
不動産特定共同事業法(不特法)とは?
不動産特定共同事業法(不特法)は、1995年(平成7年)4月に不動産特定共同事業の健全な発達及び不動産の投資に関する投資家保護を目的として施行されました。同法に基づく事業を行うためには、原則として、国土交通大臣等又は都道府県知事の許可を受ける必要があり、この許可を受けるためには、「事業を適確に遂行するに足りる財産的基礎及び人的構成を有するものであること」等の要件を満たす必要があります。また、不動産特定共同事業者は、同法上、不動産特定共同事業の遂行に関し様々な義務が課されています。
不動産特定共同事業法(不特法)に基づく不動産小口投資の種類
不動産特定共同事業法(不特法)に基づく不動産小口投資については、不動産特定共同事業法上、大きく3つの契約類型が認められています。
1. 任意組合型
全投資家と不動産特定共同事業者の間で任意組合契約を締結して、全投資家と不動産特定共同事業者が組合員となって任意組合を組成する類型です。
各投資家は、任意組合に対し、不動産の共有持分の現物出資(不動産の共有持分については、現物出資の直前に不動産特定共同事業者から購入することが一般的です。)又は金銭の出資を行い、不動産特定共同事業者は、組合の業務の執行を行う唯一の組合員として、現物出資又は出資金をもって任意組合が取得した不動産の管理・運営などの事業を行い、不動産売却や賃貸収入などの収益を投資家に分配します。
[不動産の所有権]
組合員(全投資家、不動産特定共同事業者)が共有
2. 匿名組合型
各投資家と不動産特定共同事業者との間でそれぞれ匿名組合契約を締結して、各投資家が匿名組合員、不動産特定共同事業者が営業者となって匿名組合を組成する類型です。
各投資家は、不動産特定共同事業者に対し金銭の出資を行い、不動産特定共同事業者は、出資金をもって取得した不動産の管理・運営などの事業を行い、不動産売却や賃貸収入などの収益を投資家に分配します。
[不動産の所有権]
不動産特定共同事業者に帰属
なお、投資家の名前が不動産登記簿上に載ることはありません。
3. 賃貸借型
宅地建物取引業者から共同で購入するなどして不動産の共有持分を有する投資家が不動産特定共同事業者に不動産を賃貸し又は不動産賃貸を委任する類型です。
不動産特定共同事業者は、賃貸又はその委任を受けた不動産の管理・運営などの事業を行い、賃貸収入を投資家に分配します。
[不動産の所有権]
投資家が共有
それぞれの契約類型にはメリット・デメリットがあります。また、いずれの類型も分配金の原資は不動産の賃料収入であり、分配金の保証はされていません。また、任意組合型・匿名組合型のいずれも出資の元本の保証もされていません。
投資する際には、不動産特定共同事業者から事業や商品の内容などについての説明を受けたり、不動産特定共同事業者から交付される書面・契約書をよく読んだりすることで、各不動産小口商品が投資目的に合っているかだけでなく、投資に伴うデメリットやリスクも理解したうえで、その不動産小口投資商品に対する投資を行うか否かを判断することになります。
不動産小口投資のはじめかた
賃貸型の商品はあまり供給されていないため、不動産小口投資を検討する際には、一般的には任意組合型か匿名組合型の商品が選択肢となります。
その場合の一般的な手続の流れをご紹介します。
STEP1
不動産特定共同事業者のホームページなどで不動産小口投資商品をピックアップ
STEP2
興味関心を持った商品について、不動産特定共同事業者に対し資料請求・問い合わせを行う。必要に応じ、不動産特定共同事業者の担当者から説明を受ける。
STEP3
出資することに決めた場合、申込期間中に出資申込書を不動産特定共同事業者に送付する。
STEP4
不動産特定共同事業者から事前に商品内容・リスクなどが記載された書面の交付を受け、商品内容・リスクなどの説明を受けた上で、投資を行うか否かの最終的な判断を行い、契約書を締結する。
STEP5
出資(不動産共有持分の現物出資又は出資金の払込)
事業者に聴く
・コスモスイニシア様 共同出資型不動産「セレサージュ」シリーズの事業担当者に聴く
・穴吹興産株式会社様 シェアする不動産投資「アルファアセットクラブ」シリーズの事業担当者に聴く
・実績のある投資家向け新築アパート「MIJAS(ミハス)」を不動産小口化商品として販売 株式会社明豊エンタープライズ 執行役員 開発・営業担当 吉田茂樹
・新しい不動産小口化商品「ARISTO京都」の魅力は?―井口税理士の見解
・都心商業地にある中規模オフィスビルの区分所有化「VORT® シリーズ」を小口化して販売 株式会社ボルテックス マーケティング戦略本部 マスマーケティング課 課長 笹川健氏
・少額投資で、みんなで一緒にまちづくり。①「ハロー!RENOVATION」がめざす地域再生の形株式会社エンジョイワークス 取締役 松島孝夫氏