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不動産投資のメリットがさまざまな形で教授できるようになるのか? ~不動産特定共同事業法・民法・住宅宿泊事業法の改正について~

今回は、2017年に行われた不動産に大きく関わる3つの法改正(不動産特定共同事業法・民法・住宅宿泊事業法)について見ていきたいと思う。


目次[非表示]

  1. 1.不動産特定共同事業法の改正
    1. 1.1.不動産特定共同事業法改正の概要
      1. 1.1.1.小規模不動産特定共同事業
      2. 1.1.2.クラウドファンディング関連の規程の整備
    2. 1.2.不動産特定共同事業法改正による影響を考える
    3. 1.3.個人投資家には追い風になる
  2. 2.民法の改正
    1. 2.1.最も注目される敷金の記載
    2. 2.2.民法改正が不動産取引に与える影響
    3. 2.3.変更内容を簡潔に説明する姿勢が各所に求められる
  3. 3.住宅宿泊事業法の改正
    1. 3.1.住宅宿泊事業法の内容とは
    2. 3.2.住宅宿泊事業法で民泊ビジネスはどうなっていくのか
    3. 3.3.住宅宿泊事業法が不動産投資家に及ぼす影響

※本記事は2017年7月22日に公開した内容に一部修正を加え、必要な情報を追記したうえで2019年1月13日に再公開しております。


不動産特定共同事業法の改正

2017年5月に「不動産特定共同事業法の一部を改正する法律案」が衆議院本会議で可決し、成立し、公布の日(2017年6月2日)から6か月以内に施行されることとなった。この改正により、地方の過疎化による空き家対策、クラウドファンディングによる投資の促進といった、時代に即した新しい不動産投資を促進する動きが出てくるものと見られている。では、不動産投資家はこの法改正を受けて、具体的にどのような活動をしていけばいいのだろうか。


不動産特定共同事業法改正の概要

今回の不動産特定共同事業法の改正は、大きく分けて3つが挙げられる。
そのうち、今回は個人投資家に影響があるといわれている、「小規模不動産特定共同事業」「クラウドファンディング関連の規程の整備」についてみていきたい。


小規模不動産特定共同事業

現在、地方の賃貸不動産市場は、空き家の増加が顕著になっているといわれており、そういった空き家対策は安全対策や地域振興の観点から国を挙げて対策すべき問題となっている。特に長年放置された空き家は、治安の問題や建物の安全性の観点から、早急な空き家解消、空き家を管理する法人などの出現が望まれている。


クラウドファンディング関連の規程の整備

現在、国内クラウドファンディングの市場規模は年々拡充している。これまで、不動産特定共同事業法は、対面での書面のやり取りのみを想定し、契約書の電子交付などを想定してこなかった。契約書の電子交付が可能になると、インターネット上でスムーズに契約書の交付が可能になる。今回の法整備では、契約関連の書面を電子化することで、インターネットを利用したクラウドファンディングで資金調達ができるようになると期待されている。


不動産特定共同事業法改正による影響を考える

この改正により、個人不動産投資家の活動の可能性はどのように広がっていくだろうか。小規模不動産特定共同事業の創設については不動産事業者を中心としたものになる予定で、個人投資家に直接の影響はないといわれている。一方で、不動産投資の案件数が増えれば、当然投資対象の選択肢は増えていく。地方の街をあげた町おこし施設や宿泊施設の開設など、地方ならではの案件が増えれば、投資の可能性や選択肢は大きく広がっていくだろう。

今回の不動産特定共同事業法改正で、個人投資家への影響が一番大きいのは、クラウドファンディング関連の規程の整備であるといわれている。前述の通り、この法改正によって、個人投資家の投資への申込みがインターネット上で完結することが可能になる。現在は、法律上書面のやり取りが想定されているが、法改正によってインターネット上で完結することが出来る様になれば、株式市場と同じ様に不動産特定共同事業商品への投資ハードルが下がる可能性がある。


個人投資家には追い風になる

今回の不動産特定共同事業法の改正は、投資案件の増加や一口あたりの投資金額の減少によって、不動産小口投資の可能性が広がるなど、個人投資家にとって追い風になるだろう。不動産投資のメリットを小口で享受ができるわけだ。また、地方を中心とした不動産活用の道がひらけることで、都心部に集中する傾向があった不動産投資が拡散し、全国的に不動産投資の対象となる案件も増えていくことが想定される。

もちろん、投資をする物件には慎重な見極めが必要になってくる。とはいえ、今回の法改正により不動産小口投資が株やFXのような一般的な投資になるための第一歩が、ここから始まっていくのかもしれない。


民法の改正

2017年5月に参議院本会議で、120年ぶりの抜本的な改正となる「民法の一部を改正する法律案」が可決、成立した。いくつもの条文がある民法のなかで権利のやり取りとなる「債権法」に関わる部分の改正で、これまで日本で定着していた慣習が法律によって定められるとして注目されている。その対象は不動産取引においても多く、不動産業界では数年後の施行に向けて大きな影響が予測されている。


最も注目される敷金の記載

不動産取引は不動産業界だけではなく、一般の不動産居住者についても関わりの深いものだ。代表的なものが「敷金」の扱いだ。

敷金とは不動産賃貸において月額の入居費、いわゆる賃料とは別に借り手が貸し手に払う入居時の支払いを指す。居住用賃貸物件の場合は月額賃料の0ヵ月から2ヵ月が相場とされている。敷金は事務所や店舗の場合も発生し、こちらは居住用の取引に比べて大きい金額がやり取りされることが多い。

敷金は賃料のほかに原状回復時に「借り主の負担項目」があった場合に原資として取り扱っている。一般的に、賃貸物件に長く住めば住むほど劣化していくのは避けられない。不動産取引ではこれを「経年劣化」と定義し、経年劣化以外の原状回復項目があった際に敷金から支出される。
例えば、故意に壁を破損した、設備を傷つけたなどが代表的な例だ。喫煙による壁の汚損が退去時に敷金支出の対象とされることも多い。ただ、この敷金は、法律によって定められたものではなく、いわば慣習として日本の不動産取引に浸透してきた。

とはいえ、敷金設定はあくまで慣習であり、地域によってもその内容には差がある。どの部分が経年劣化で、どの部分が敷金による保証の対象かという条件も物件によって異なり、賃貸借契約のトラブルになることも多い。ここが不動産投資のデメリットともいえる部分だ。

このような敷金をめぐるトラブルを避けるため、今回の民法改正案に敷金の明文化がされることとなった。これは敷金だけではなく、借り主の自ら修繕することができる権利や原状回復義務も明記されることになる。


民法改正が不動産取引に与える影響

今回の改正は成立から施行まで数年空いている理由は、その影響の大きさがある、と言われている。特に不動産取引は、借り手が知識や経験のある不動産会社やオーナーと契約を結ぶケースが多いため、借り手には手厚いケアをしていく必要がある。そのあたりの詳細は、法律とともに発布される付帯事項で整備されていくことであろう。


変更内容を簡潔に説明する姿勢が各所に求められる

不動産賃貸は特に借り手にとって、大きな出費を要するものだ。不公平感のある敷金の設定は、借り手の日常生活にも強い負担を課すこととなる。そのため、民法の改正によって情勢はどのように変わったのか、国は簡潔に説明する姿勢が求められる。

国は、不動産業界の各協会による説明のほか、実際に取引をする各不動産会社にも改正内容についての理解と、丁寧な説明が求められる。そして、敷金や原状回復の影響を最も受ける借り主も、「自分たちは知らない」ではなく、当事者として変更内容を理解する姿勢が大切だといえるだろう。まずは2018年にあるかもしれない改正民法の施行に向け、発信される情報をキャッチアップしていきたい。


住宅宿泊事業法の改正

2017年6月9日に参議院本会議で成立した「住宅宿泊事業法」、いわゆる民泊新法は2018年1月の施行を目標に検討されている。これまで民泊施設を規制する法律はあったものの、東京都大田区や大阪などの特区民泊といわれるエリア以外でも、隠れて民泊施設が設けられるなど、事実上野放し状態であった。そのような背景を受けて、政府でも本格的に民泊の法制化について乗り出したといえるだろう。


住宅宿泊事業法の内容とは

まず住宅宿泊事業法が制定された背景、そして内容について知っておきたい。国土交通省の『「住宅宿泊事業法案」を閣議決定』によれば、
「ここ数年、民泊サービス(住宅を活用して宿泊サービスを提供するもの)が世界各国で展開されており、わが国でも急速に普及しています。一方、民泊サービスに起因した近隣トラブルも少なからず発生しており社会問題となっています。このため、民泊サービスの提供に関して一定のルールを定め、健全な民泊サービスの普及を図ることが急務となっています」
と、述べている。

国としても規制の必要を感じたために、住宅宿泊事業法を改正することになった。具体的には、民泊新法として以下のような内容を設けた。

・ 住宅宿泊事業の営業日数は年間180日を上限とする
・ 都道府県知事に届け出の義務
・ 民泊施設の管理業者や仲介業者にも登録義務を設け、5年ごとに登録の更新
・ 宿泊者名簿の作成
・ 宿泊者の衛生、安全の確保
・ 民泊事業者と外に分かるような標識の表示
・ 苦情受付窓口の設置
・ 外国人に対する外国語での注意喚起などの表示

ただし、特区民泊以外のエリアでも民泊施設を開設することが可能になったため、観光客が多い地域での民泊施設の増加が予測されている。


住宅宿泊事業法で民泊ビジネスはどうなっていくのか

この民泊新法の施行によって、民泊施設を運営する業者はどうなっていくのだろうか。今回は大幅な緩和策と、業者の登録義務を同時に設けた施策となっている。

韓国人の観光客が多い福岡県、古都として人気の高い京都府、その他にも東京は言うまでもなく北海道にも需要が高まっている。既存の建物や施設をリノベーションして宿泊施設にする、空き家をリフォームして宿泊用に改築するなど、民泊施設を開業できる業者にとっては、ビジネスチャンスが拡大するだろう。

一方で、一部の民泊事業者からは不満が出ている。それは登録や設備面での義務ではなく、1年間のうち、180日しか観光客を泊めることができない点である。これは施設の収益性に非常に大きく影響する。民泊を主な事業として展開したい業者にとっては、ネックになりうる。


住宅宿泊事業法が不動産投資家に及ぼす影響

住宅宿泊事業法の施行により緩和された部分と規制された部分があり、それぞれ民泊ビジネスのあり方を大きく変えていくものだろう。

個人が自宅や賃貸物件の空き部屋を流用し、副業として収益を得るために開設するのであれば、収益が大きくなくても事業を継続できるだろう。しかし、民泊施設で収益を得ていきたい事業者にとっては、180日規制が大きな足かせとなる。稼働日数が少なければ不動産投資の融資も難易度が高くなる。

全国各地での民泊施設の開業を促進する反面、質の低い民泊施設をゼロにするという狙いが、この法律には込められているといえそうだ。


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