Original

非効率による高金利を引き下げられるのはフィンテック?新興国のマイクロファイナンス市場を検証する

途上国の中には、資金需要者(零細事業者)の利益率が高いことからローンの貸付金利が高くても経済が成り立っている国がある。
ただ、様々な国の信用市場を見ていると、やはり市場原理がうまく働かず非効率な状態になっており、経済が著しく発展してきているにもかかわらず貸付金利が高いままになっている国もあることが見えている。
今回はその現象について、メキシコとペルーという経済の発展段階が似ている2つの国を例に挙げて、紹介しよう。

(写真= ppart / Shutterstock.com)


目次[非表示]

  1. 1.“マイクロファイナンスセクター”だけ金利水準が異なる
  2. 2.マイクロファイナンス生態系の生い立ちの違い
  3. 3.生い立ちの違いによる差は調達構造にも
  4. 4.メキシコのマイクロファイナンス市場の非効率は今後も続くのか
  5. 5.お問い合わせ

“マイクロファイナンスセクター”だけ金利水準が異なる

下の表は、メキシコとペルーの金利水準をセクターごとに比較したものである。
大手企業が発行する社債、銀行や貸金業者が貸付を行う住宅ローン、中小事業者ローン、消費者ローン等、どのセクターでも金利水準はほぼ似ていることが分かるだろう。
メキシコとペルーは、インフレ率が低く、ファンダメンタルズの優良な新興国だ。しかし、“マイクロファイナンス・セクター”のみ2国の金利水準が全く異なっていることが一目瞭然なのだ。
 
※マイクロファイナンス:貧困層や低所得者層を対象に、困窮の緩和を目的として行われる小規模な金融サービスの総称。


出典:デジタル大辞泉

メキシコとペルーのセクター別平均貸付金利の比較

出所:Kubo.financiero、ペルー金融監督庁


マイクロファイナンス生態系の生い立ちの違い


この2国間における金利水準の違いの原因は、ペルーでは各地域の繋がりから発展した信用組合がマイクロファイナンス機関になっていったのに対して、メキシコでは国内の財閥が多角経営の一環としてマイクロファイナンス事業を展開していったことにあると言われている。
ペルーの信用組合は、利益追求ではなく地域の個人や中小企業に必要な資金を供給することをその存在意義としているため、自身の存続に必要な金利(調達コスト+オペレーションコスト+貸倒引当金)に僅か数%上乗せしたくらいの金利水準で貸付を行うことが多くなっている。
それに対して、メキシコの財閥による多角経営では、企業の存続に必要な水準を大幅に上回る水準での貸付を行っているのだ。

生い立ちの違いによる差は調達構造にも

ペルーとメキシコのマイクロファイナンス機関の生い立ちの違いは、その資金調達構造にも影響を与えている。
下の図は、ペルーのマイクロファイナンス機関のローン残高に占める預金残高の割合の分布だ。
約3分の2 (65%) のマイクロファイナンス機関が、ローンの75%以上を預金でファイナンスしていることが見てとれる。上記に含まれるマイクロファイナンス機関全社の合計で見ても、ローンの79%が預金でファイナンスされている。

ペルーのマイクロファイナンス機関(ローン残高が5千万ドル以上のみ)の
ローン残高に占める預金残高の割合の分布

出所:MIX MARKET
 
これに対して、下の図がメキシコのマイクロファイナンス機関の同様の割合の分布である。
ペルーの例とは全く異なり、過半数のマイクロファイナンス機関がローンを貸し付けるための資金調達源の3分の2以上を、預金以外の手段(国内の大手銀行からの借り入れや海外の投資ファンドからの借り入れ、出資の受け入れ)を行っていることが分かる。
全社の合計で見ると、預金でファイナンスされているローンの割合は56%であり、やはりペルーの79%を大幅に下回っている。

メキシコのマイクロファイナンス機関(ローン残高が5千万ドル以上のみ)の
ローン残高に占める預金残高の割合の分布

出所:MIX MARKET
 
なぜ、メキシコが行っているような財閥系のマイクロファイナンス機関が預金事業を注力して行わないのか。それは、途上国において預金を受け入れる業務は大手銀行から借り入れたり、社会投資ファンドから出資を受けたりするよりも業務が煩雑だから、と言われている。
つまり、理屈上の話であるが、ペルーの信用組合は業務が煩雑になっても地域の住民からの預金を受け入れる業務を社会性の観点から行うものの、メキシコの財閥系マイクロファイナンス機関は利益を優先してそれは行わない、というわけだ。


メキシコのマイクロファイナンス市場の非効率は今後も続くのか

このように、メキシコのマイクロファイナンス機関は現時点ではペルーのマイクロファイナンス期間と比べると営利目的の比重が高くなっているが、この状況は今後も続くのだろうか。
「非効率のあるところにフィンテックの参入余地あり」で、肌感覚にはなるが、現在ラテンアメリカの中でもメキシコでオンライン・レンディング*2の業者が最も増加している感触を筆者(クラウドクレジット株式会社)は持っている。

*2 自分で貸し倒れリスクをとるバランスシート・レンダーや投資家に直接融資する機会を提供するP2Pレンディング・プラットフォーム

当然フィンテック企業も営利企業なのだが、不必要な金利をチャージすることをやめながら、インターネットや政府により整備されつつある電子ネットワーク上のデータを用いることによって、よりオペレーションコストや貸し倒れリスクの低減を図ろうという試みが現在メキシコにおいて進んでいる。
5年、10年という時間はかかるであろうものの、メキシコのマイクロファイナンス市場もより効率化していくのかもしれない。


お問い合わせ

クラウドクレジット株式会社
https://crowdcredit.jp/
0800-888-9610
受付:平日10:00~18:00

株式会社明豊エンタープライズ_M-Lots田園調布


検索


新着記事


公式Facebookページ


公式Twitterアカウント


運営者情報

小口化投資商品の流通プラットフォーム 「みんなの投資online」の運営事業

株式会社スマートマネー・インベストメント 
〒100-0011 東京都千代田区内幸町一丁目1番7号 日比谷U-1ビル13階

メニュー